塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

【ジェフリー・ガンドラック】米国株はまだ下がる。リセッションの可能性は上昇。そうなればドル安。

塾長です。

債券王ジェフリー・ガンドラックのFOMC直後(6/15)インタビュー動画完全版が公開されたので、見て行きましょう!

www.youtube.com

30分の長さがあるので、要点だけ;

・0.75%利上げは当然。本来は2%利上げすべきだった。我々のモデルでは、8%台が数か月続き、年末には6%台後半。

・私はFEDの予想をまったく信頼していない。FEDは1年後のFFレートが3.8%だと予想しているが。彼らの予想は6週間前からUターンした。6か月前とはまったく違った事を言っている。我々のモデルでは、2022年を通してのインフレ率が最高7%になると予想している(のだから、FFレートが3%台後半という予想は低すぎる)。

・先週ラリー・サマーズは1980年代のインフレ率計算方法を用いれば、今のインフレ率はもっと高いと述べた※。市場の関心を引いたようだ。短期債利回りが3日間という短い期間に0.75%と急激に上昇したのと関係があるだろう。

 経済統計に懐疑的な経済学者のグループが存在する。特にCPIに対して。彼らはshadow finance statisticsなどと呼んでいる。残念な事に、彼らは陰謀論者のように扱われている。政府が誤った統計を出していると言っているからだ。彼らが言うには、1980年代に使われていたCPIの計算方法で今のCPIをはじき出すと4、5%高く出るそうだ。そして政府がいかに嘘をついているかと指摘している。

 ラリー・サマーズは陰謀論を取り除いて、単純化してこう述べた。1980年代のCPIを今のCPI計算方法で出してみようと。そうすると9%程度になるらしい。それはほとんど今と変わらない。しかし、FFレートは2%以下。それがインフレを抑えられると考えるのは難しいだろう。

 私が何度も言っているように、FEDは2年国債利回りを追っているに過ぎない。記者会見でパウエルは不誠実な説明をした。フォワドガイダンスが金融環境を引き締めていると。まったく逆だ。2年債利回りが金融環境を引き締めて、彼らは追従しているだけだ。

 FEDの実行力が問われている。彼らは"paint of get off the ladder(仕事をするか、辞めるか)"だ。

・債券は一時的に落ち着きを取り戻している。しかし、さらに(利回りが)上昇するだろう。夏から夏の終わりにかけて。今後数か月のCPIはprettyではない。9%が出る可能性もある。債券市場の流動性は低下している。QTがあり、買い手がいない。

・経済が強いと聞くが、良く分からない。第1四半期GDPはマイナス。アトランタFEDによると第二四半期はゼロ。どこに強さがあるだろう?小売りは弱い。PCEが高く出ているのは、インフレのせいだ。平均的(median)住宅を30年固定金利で買った時の支払額は、年初比45%上昇した。消費者態度指数は酷い。多くの需要は先食いされた。今がソフトランディングしている状態。しかし、インフレは収まらないので、FEDは利上げするしかない。リセッションに陥らない可能性は低くなるばかりだ。

FEDは経済、株式市場、なんらかのリスク資産に巨大なダメージがない限り、QTの速度を緩めないだろう。低金利でレバが効いた経済において、何かが爆発(blow-up)してしまう可能性は高い。仮想通貨が良い例だ。

Bitcoinには弱気。レンジを抜けた。$10,000になっても驚かない。

・引き続きドルには短期的に強気、長期的にとても弱気。ECBや他国が利上げしそう。FEDは利上げのペースカーとなっている。ドルが高いのは、対円に関連している。日銀はゼロ金利政策を続けるためには、喜んで円を犠牲にするようだ。彼らは世界で起きているインフレを真剣に受け止めていない。円が弱くなっている理由だ。

 次のリセッションでドルは大きく下落するだろう。FEDが利上げを続ける限り、ドル高は続く。しかし、利上げがリセッションを招き、FEDはゼロ金利に戻る。そのとき、ドルは下げる。

コモディティーには強気。投資家は構造的なポジションを取るべき。

・まだ新興国株は買っていない。買っておくべきだったかも知れない。ここ数か月、相対的な高パフォーマンスには目を見張るものがある。ただ、私が新興国株を買うのは、ドルが下げるときだ。その時は大きく買う。

・今も欧州株を好んでいる。

・米国株にはニュートラルな立場。さらに下がると思う。売るタイミングではない。

・市場にはたくさんの機会があるが、リスクを取らなければならない。

・奇妙なことに、ここ2週間の値動きによって、我々のモデルでは10年債が正しい価格になっている。利回りが高過ぎる可能性さえある。短期的に、長期債利回りが下落する可能性がある。

※:FRB、ボルカー時代と同程度の政策措置が必要か-サマーズ氏ら推測 - Bloomberg

前回と変わって・・・

  • 8%台の高インフレが続く(前回まではインフレはピークを迎えたと言っていた)。
  • よってFEDは利上げをせざるを得ない、リセッションの可能性がさらに高まっている

と言っている。「すぐに3%まで金利を上げろ」と言っているのはご愛敬。

投資ポジションに変更は無い。

ドル安は米国経済がリセッションに入るとやってくるらしい。その時が新興国株を買う時だ、と。日本もその新興国の仲間に入れてもらえないかしら?金融政策のマズさはトルコと変わらないって事で。

ガンドラックの見立てに沿うのであれば、今米国株を買うのは二重の意味で止めておいた方が良さそうネ。これから米国株は下がるし、ドルも安くなる、と。まぁ、結局は適切なタイミングを見極められるか?の問題。できないなら、ドルコスト平均法が良い、といういつもの結論。

 

 

さて、ここまでだと「何を根拠にこんなこと言っているの?」と感じる人もいるでしょう。そんな方は、彼の主張を様々なデータを交えて説明(むしろ、様々なデータを説明しながら、それが意味するところを説明)している動画があるので、どうぞ!;

www.youtube.com

 

 

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米国株ランキング

米国株はトリプルウィッチングを無事通過。カジノ経営者が米国消費者の変調を訴えていたヨ。

塾長です。

昨日(米国6/17)の米株市場は少し戻したけれど、最近のハイボラな状況、昨日の暴落、トリプルウィッチングを考えればヨコと言って差し支えない。

 S&P500、3,674(+0.22%)

 Nasdaq、10,798(+1.43%)

【米国市況】株が小反発、波乱の1週間終える-ドル135円近辺に急伸 - Bloomberg

S&P500種はプラスを確保したものの・・・週間ベースの終値としては2020年12月以来の安値となった。・・・この日は個別株および株価指数のオプションの満期と指数先物の期限が重なる四半期に一度の「トリプルウィッチング」に当たった。

 

 

債券・為替・コモ:

 原油、110.48

 10年債、3.2390

 ドル円、134.9600

 Bitcoin、20,502

 

 

経済指標:

 5月 鉱工業生産指数[前月比]、0.2%(予想0.3%)

 5月 設備稼働率[前月比]、79.0%(79.3%) 

米鉱工業生産指数、5月は製造業が4カ月ぶりの低下-需要鈍化 - Bloomberg

 

 

金融政策:

パウエルさんが講演。新しい話は無し;
FRB議長、インフレ率の2%回帰に「極めて重点的」に取り組む - Bloomberg

 

ジョージさんがまともな発言;
FOMCで反対票のジョージ総裁、政策の不確実性増すと理由を説明 - Bloomberg

同連銀は17日、1994年以来の大幅利上げを実施する決定に唯一反対票を投じたジョージ総裁の声明を発表。総裁は「政策金利調整ではその速度が重要だ」とし、「政策変更は時間差を伴って経済に作用する。大幅で急な変更は、必要な調整を迫られる家計や小規模企業に動揺を与えかねない」と論じた。

 

FRBが金融政策報告書を発表。この内容をもとに来週パウエルさんが議会証言。議会で証言での注目は、インフレに関して議員達がどれだけ無責任にFRBを責め立てるか?でしょうか;
FRB、物価安定回復へのコミットメントに「条件ない」-政策報告 - Bloomberg

 

 

スイスでさえ利上げしたのに、日本は金融緩和継続を決定;
金融引き締め「適切ではない」、黒田総裁が緩和継続を強調 - Bloomberg

YCCの下での長期金利の許容変動幅拡大も「考えていない」と否定。

 

 

財政政策:

米政権と議会民主党、インフレ抑制で新たな経済対策を協議-関係者 - Bloomberg

インスリン価格の上限設定や、クリーンエネルギーと化石燃料の両方への連邦政府による投資が含まれる可能性が高い。また財政赤字の一段の縮小や、富裕層や企業に対する増税も盛り込まれる見通しだという。

 

 

地政学

なし。

 

 

個別株:

普段からダイナミックな価格付けをしているTeslaなので、あまり話題になっていないが、最近2,000~6,000ドル値上げしている。その理由は”サプライチェーン”;
Almost Every Tesla Is More Expensive Now | News | Cars.com

安定した価格付けをするGMでさえ、電動ピックアップトラックを6,000ドル値上げ;
GM hikes Hummer EV price by over $6,000 as commodity, shipping costs rise | ロイター

EVがガソリン車より大幅に高ければ、売れなくなる。EVにも冬の時代が到来するかもネ?

 

 

利上げ環境下にあって、米国経済頼みの綱は個人消費。モノが売れなくなっているデータ(小売売上高、製造業景況感指数・・・)が出ても「goodsからserviceへ消費が移る」と理由付けされ、スルーされている状況。実際、飛行機、ホテルは満席・満員で高価格を維持している(らしい)。それに陰りが見えてきているのでは?という話があったのでご紹介。

兄弟でラスベガスの複数カジノを経営しているデレック・スティーブンス(Derek Stevens)のインタビュー;

www.youtube.com

長めのインタビューなので、要点をまとめるとこんな感じ;

  • コロナで抑圧されていた反動があり、ホテルは満員。高い値段を付けている。
  • しかしギャンブルとバーで使われるカネが減ってきている。直近、レストランの収入にも影響が出てきた。
  • 支出を減らしているのは(インフレで最も影響を受けていると言われている)低所得者層だけでない。広いレンジで見られる現象。
  • 公開しているカジノ企業は悪い決算を出すだろう。その前に収益予想を引き下げるかも知れない。
  • カジノ株は売られているが、収益悪化の全てを織り込んでいるとは思えない。
  • ホテルは、地域的に近いエリアの需要から、さらにメキシコ、カナダ、欧州、英国など国外需要を取り込めている。
  • ホテル予約は強固(robust)とは言えないが、まあまあ(fair)だ。「今週末ラスベガスでも行こうぜ!」と言ってくる客が減っている。

最近は全ての株が下げているので、カジノ株も下げている。しかも、コロナ前よりも下げている。理由は色々言われていて、景気が悪くなるので収益が悪化するだろう、この手の会社は借金が多いので利上げ局面に弱い※、中国(マカオ)の先行きが不透明、ドル高は米国から旅行客減少&海外カジノ利益減少につながる、とか。

代表例としてLas Vegas Sandsの5年チャートを貼っておきます。

Las Vegas Sands 5Y 2022/6/17 - Yahoo Finance

ここからさらに下げますか・・・。

※:先日紹介したCeazarsのように運営と(借金の元となる)土地建物を分離している会社もある(Targetが決算3週間後に業績見通し下方修正。他業界でも過剰在庫問題はあるの? - 塾長の資産運用

 

何度も何度も馬鹿みたいに同じ事を書いているけれど、日本は世界の観光需要を取り込んだ方が良いと思いますがねぇ。もうコロナはインフルエンザみたいな病気になったのでは?

日本の大企業は、まだこんな段階か・・・;
経団連 コロナ対策のガイドライン マスク着用など一部緩和 | NHK | 新型コロナウイルス

 

 

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米国株ランキング

昨日も米国株が売られた。長期的には次期大統領選も意識したい。

塾長です。

昨日(米国6/16)の米株市場は、オハギャー。まさかの大幅下落。

 S&P500、3,666(-3.25%)

 Nasdaq、10,646(-4.08%)

【米国市況】株が急反落、リセッション懸念が再燃-ドルは132円前半 - Bloomberg

新しい出来事で売られたのではない様子。スイスのサプライズ利上げが影響しているという話もあるが、良く分からない。

 

 

債券・為替・コモ:

 原油、116.88

 10年債、3.3070

 ドル円、132.5720

 Bitcoin、20,295

 

 

経済指標:

 5月 住宅着工件数、154.9万件(予想170.2万件)

 同[前月比]、-14.4万件(-0.9万件)

 5月 住宅建築許可件数、169.5万件(177.0万件)

 同[前月比]、-7.0万件(-1.9万件)

米住宅着工件数、5月は予想以上の減少-約1年ぶり低水準 - Bloomberg

着工件数の減少率は2020年4月以降で最大。・・・ただ、建設許可のペースは着工を上回っており、短期的に住宅建設が持ちこたえる可能性はある。

建築戸数減少は住宅価格低下の前触れ?需要の弱さ(の見込み)を表しているので、住宅関連株にはネガティブ。物価上昇を気にかけている人にとっては、コロナバブルで上昇した価格が剥がれてくれないといけないが・・・。

在庫を抱えた不動産会社が、強気の値付けを見直してくる可能性はある。
コロナ中に投機的に買った企業(ヘッジファンド)も売ってくるかも知れない。利益確定させなければいけないので。
長期的に考えられるであろう個人オーナーは、低い固定金利で借り入れしているので、手放す理由は無い。

 

 

米新規失業保険申請、小幅に減少-労働市場のタイトな状況続く - Bloomberg

 

 

金融政策:

FRBは来年に損失計上へ、利上げに伴い-ダドリー前NY連銀総裁 - Bloomberg

ダドリーさんが言っているのは・・・

え?FRBってそうやって運営されているの?と今更ながら思ふ。赤字になったら、議会にカネの無心に行かなければいけないらしい(ウソかも知れないので、信じないで)。

 

 

財政政策:

なし。

 

 

地政学

欧州天然ガス価格が急伸、一時24%高-ロシア産ガス供給が減少 - Bloomberg

伊ENIや仏エンジー、独ウニパーなど複数企業が供給減を報告
ガスプロムは技術的要因と説明、削減は意図的ではないとロシア政府

 

DW(ドイツ公共放送)は2日前にこのように伝えてました;

www.youtube.com

  • ガスプロムの公式発表では「ドイツ向けガスの供給を減らす。その理由は、ドイツの会社であるシーメンス製コンプレッサー修理のためである。」
  • 夏になるのでエネルギー需要は減少するため、短期的には問題にならないが、冬に向けて貯蔵できなくなる可能性があり、数か月先には問題になる。

ということで、ロシアはドイツ(経済)を殺しに来たのではなく「君たち、分かってるよね?」と優しくメッセージを送っている様子。

 

以前からジェフリー・ガンドラックが勧めていた欧州株を、レイ・ダリオ率いるブリッジウォーターがショートしているらしい;
ブリッジウォーター、欧州株の空売りポジションが57億ドル規模に拡大 - Bloomberg

欧州市場は細分化していて良く分からないので、手を出しません。大物投資家が違ったポジションを取っているのは、見ていてオモシロイ。

一応、ユーロストックス50の株価(ユーロ建て)、5年チャートを貼っておきます;

STOXX50E 5Y 2022/6/16 - Yahoo Finance

コロナ暴落前の値段を割っているのは確認できますネ。

 

 

個別株:

今日も個別株のオモシロニュースは無し。CNBCやYahoo Financeは「株はどこまで下がる?」といった猿ダーツな話が多い。

ほ~んの少しだけ興味をひかれたのは、こちら。西海岸の港湾労働者組合と運営者で賃上げ交渉;

www.youtube.com

  • 予想に違わず労働者側が優位な状況で、大幅な賃上げを獲得するだろう。
  • 賃金の他に”自動化”が議題に上がっている(自動化が具体的に何を示すのかには触れていない)

ここから分かるのは以下2点;

  1. (少なくとも一部では)賃金上昇スパイラルは起きている、悪いインフレは続きそう。そうなればFEDは利上げ継続せざるを得ない。株には逆風。
  2. 「米国は進歩的」というイメージがあってついつい忘れがちになるが、相変わらず一部の業界では組合が強い。そういった業界では、生産性向上が進まない。前向きな言い方に直すと、改善余地がある。

 

基本的に、現政権民主党は組合側の立場。共和党はその反対。

イーロン・マスクが「フロリダ州知事デサンティス(共和党)を大統領に」と言ったとか、言わなかったとか;Tesla's Musk says he's leaning towards DeSantis for president | Reuters

次期大統領選(2024年)、トランプも意欲を見せているが、もう歳も歳。バイデンの低支持率からすると、次の大統領、共和党側から出る可能性はそれなりに有る。今、株が投げ売り状態で買い時なので、それに向けて仕込んでおくことも考えなければ。

それにしても、円安・・・。

 

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【リチャード・フィッシャー】FEDは馬を納屋から放った。高インフレ、高金利が続き、低金利を前提とした会社はつぶれる。

塾長です。

昨日(米国6/15)の米株市場は、FOMCを通過してアゲ。

 S&P500、3,789(+1.46%)

 Nasdaq、11,099(+2.50%)

【米国市況】株が上昇、議長発言で安心感-ドルは133円台後半 - Bloomberg

 

 

債券・為替・コモ:

 原油、116.16

 10年債、3.3950

 ドル円、134.0820

 Bitcoin、22,544

 

 

経済指標:

 5月 小売売上高[前月比]、-0.3%(予想0.3%)

 5月 小売売上高(自動車除く)[前月比]、0.5%(0.7%)

 6月 NY連銀製造業景気指数、-1.2(3.1)

 6月 NAHB住宅市場指数、67.0(68.0)

米NAHB住宅市場指数、2年ぶり低水準-需要後退とコスト高で - Bloomberg

 

 

金融政策:

FOMCは0.75%利上げを決定し、終了。次回ミーティング(7/26、27)でも0.75%らしい;

FOMC声明:インフレ率を目標の2%に戻すことに「強くコミット」 - Bloomberg

FOMC、75bp利上げ-7月は75か50bpの公算大とFRB議長 - Bloomberg

パウエル議長の発表、QA全編はこちら;

www.youtube.com

だいたいこんな事を言いましたヨ

  • インフレとインフレ期待が高過ぎるので0.75%利上げ。次回も0.5ー0.75%利上げとなるだろう。
  • 前回FOMCでは0.5%利上げ予定と言ったが、高いCPIデータと、高いインフレ期待(ミシガン大学調査など)が出たので0.75に変えた。2%に戻す。
  • FEDが操作できるのは需要側。今のインフレは供給側に起因する要素が多いが、何とかする(ように求められている)。
  • 失業率は今より上がるのは仕方がない。それよりインフレ退治の方が重要。物価安定あってこその経済成長である。
  • (小売売上減少のデータを引き合いに、需要が弱まっているのでは?という質問に対して)消費はモノからサービスに移行している。全体的に消費は過熱ぎみという認識。
  • SEP(Summary of Economic Projections)が示しているのは、今年の終わり時点、FFレートを若干引締め気味の3.4%にして、2023年にはインフレが2%台に乗るという予想。年末まで6か月あるので、変わる可能性はある

今回はSEPへの言及が多かったので、そちらへのURLも載せておきましょう;
https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20220615.pdf

 

 

今回のFOMC/パウエル発言に対して、デイビッド・ザボスやガンドラックもコメントしているが、一番良い事言っている元ダラス連銀総裁リチャード・フィッシャー(Richard Fisher)を取り上げます;

www.youtube.com

FEDはインフレをまったく制御できていないように見えますが?

・完全に制御を失ったとは言えない。

 一つパウエル議長に合意できない点がある。彼は賃金上昇の連鎖(スパイラル)が起きていないと思っているが、どの会社のCEO、CFOと話ても、会社の大きさに関わらず、公共でも民間でも、労働者を見つけるのが難しく、高い賃金を払わなくてはならず、生産性が下がっている、と言っている。私は、賃金上昇の連鎖は始まっていると思う。

 ここでやらなければいけないのは、我々の経済を蝕むインフレを退治すること。不快で、精密な外科手術が求められる。パウエルはそれを率直に語ったと思う。彼らは、私が「納屋から馬を放つ(the horse out of the barn)モデル」と呼ぶ政策を行った。それはインフレが起きるのを待って、対処するという方策のことだ。実経済で結果が出るのは18か月かかる。株式市場の反応は素早いが、実ビジネスはどうは行かない。仕入れや求人や様々なことをやる必要がある。どの企業も値上げが必要だと言っている。NFIBが昨日発表したサーベイを見て欲しい。利益確保のため、もっと値上げをすると言っている。彼らは公開企業ではない。私企業だ。米国民の半分がこのような企業で働いている。この流れは長く続くだろう。4%(のインフレ)が続くだろう。パウエルが言ったように、ウクライナ情勢や中国のロックダウンは制御不能だ。しかし、制御可能な部分に対して行動を起こす必要がある。それは厳しい薬、手術になるだろう。

ー彼らはインフレが起きるのを懇願していた。それが得られた今、制御しなければいけない、となっている。尊大(hubris)だったのではないか?

・先に言ったように、彼らは馬を納屋から出すアプローチをとったのだ。2年前のジャクソンホールで、そう決めた。私は間違いだと批判した。インフレが一時的かどうか見極めてから、行動する(のでは遅すぎる)。私はもちろん、アラン・グリーンスパンベン・バーナンキ、ジャネット・イエレンも間違いを犯してきた。見通しを誤って、間違いを起こした。時には正しく、時には間違った。いずれにせよ、先制攻撃を講じた(pre-emptive measures)。これは後からの対応(post measures)である。よって、時間がかかるし、難しい。年金や低所得者を痛めつける。

 金持ちにとって厳しいと言える面もある。去年、何も持っていない会社が1,500社も上場した(多分SPACの事を言っている)。(借入)コストがゼロな状況がそれを許した。金融市場が心配である。重大な失敗、重大な修正を見ることになるだろう。大きなストレスだ。(質問しているCNBC出演者を指して)あなた達のような頭の良い投資家にとっては良いだろうが、市場に大きな混乱が起こるだろう。誰かが救済しなければいけない事態になるかも知れない。それが金融政策なのか、規制なのかは分からないが。

ーそれはシステミック・イシュー(金融システム全体を揺るがすような問題)となるか?

・システミックと言えるかどうかは分からないが、これだけは知っている。マネーのコストがゼロであれば、将来のキャッシュフローの価値は無限大になる、のだ。仮想通貨業界、Fintech業界、ミーム株を見て欲しい。多くの一般投資家、若い人達は、永遠にマネーが無料だと考えた。彼らは大きな怪我を負うことになる。重大事故となるのか、FEDか誰かが対応しなければいけなくなるのか、見守る必要がある。ブラックスワンの可能性がある。

ということで、リチャード・フィッシャーは、4%程度のインフレ率が数年に渡って続くので、金利も高い(FFレートにして3~4%?)が続く。そうなれば、低い借入コストを前提にしていた会社が潰れて行く、株や社債相場が荒れるという予想。

積立放置で証券口座を開けない期間がどんどん長くなる予感。

 

 

財政政策:

U.S. Senate finance chair to propose tax on excess oil profits | Reuters

 

 

地政学

なし。

 

 

個別株:

大きなニュースはないので、マイク・ウィルソンのコメントを簡単に紹介してオシマイ。

www.youtube.com

  • 我々の見立ては変わらない。利上げしてもインフレ問題はすぐに解決しない。経済のスローダウンに向けて利上げするのだから、リセッションの可能性が増した。
  • S&P500は3,400~3,500のレベルまで落ちる。利益の引下げがあるだろう。ソフトランディングが可能なら、もっと強気になれるのだが。
  • NasdaqはPERがS&Pより高かったし、コロナの反動需要を取り込めない分だけ、もっと落ちるだろう。

だ、そうですヨ。

株が安く買えるようになりそう。

 

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