塾長です。
今日は休日なのでユルイ話題を。
米国時間2021年3月4日、ジャック・ドーシー率いるSquareが、Jay-Zのもつ音楽サービスTidal買収を発表。
Squareのニュースリリース：
Square, Inc. Announces Plans To Acquire Majority Ownership Stake In TIDAL
音楽業界のビジネスモデルの遍歴は興味深いものがあって、レコード時代、レコード会社の力がとても強かった。Internetなんてないから、レコード会社にレコードを作ってもらって、レコード屋に卸してもらわなけれならなかった。レコード会社はラジオ局と関係が深く、ラジオ局で推しのミュージシャン、曲を流してもらうことで、流行を作っていた。すなわち、レコード会社が一番偉くて、誰のどの局を売るかを決め、アーティストはそれに従った。消費者はレコード会社が選んだものからしか、好きなアーティスト・曲を選ぶしかなかった、という状況。
アーティストは不満タラタラで、このビデオでは、TLCが契約に縛られて自由が無い、と訴えている：
TLCの音楽を聴いてみると分かるが、”大衆”好みの曲を、”大衆”好みの歌い方で歌わされている。これはTLCに限らない。
転換点は、
・1980年代終盤、ヒップホップ分野から、アーティストが自前レコード会社を作り始め、商業的に成功した。NWAなどが有名。
・2000年ごろ、Napster出現。日本ではWinnyなんてのもあった（2002年～）。
・2003年、iTunes Music Store開設。
あたりにあったと思いマス。この期間で、音楽が民衆化。アーティストは好きな曲を作り・発表できる、消費者は好きな音楽を（レコード会社に操作されることなく）選べる下地ができた。一方、音楽業界としての売上は減少、音楽業界の危機が叫ばれた。
最終的にそれをひっくり返したのが、音楽ストリーミングサービス。
2008年、Spotifyサービス開始。
2015年、Apple Musicサービス開始。
こちらのレポートから、2015年に右肩下がりの音楽業界の売上が、反転したのが分かる：
TIDALは、Wikipediaによると、2010年ノルウェーで設立されたストリーミングサービスで、2015年Jay-Z率いるProject Panther Bidcoにされた。
ここで登場してくるのが、黒人ラッパーJay-Zであるというのが面白い（ヒップホップをメジャーに押し上げ、既存の枠組みを壊したきっかけを作ったのも黒人ラッパーたちであった）。そして、それに投資するSquare／ジャック・ドーシー。
蛇足ながら、Beatsを作ったのはDr. Dre。2014年、Apple／ティム・クックが買収。何か”型”のようなものが見えてくる気がしないでもない。
何が言いたいかというと（「黒人スゲー」ではなく）、売手がパワーを持っているような既存の枠組みは、どんどん壊され、消費者側にパワーが移行していくのだという事。
なぜ売手主導の業界で既存プレーヤーが、新規参入者に破壊されちゃうかというと、たいていの場合、既存プレーヤーは官僚化していて消費者のニーズを汲み取れない、余計なコストがかかっているから。別の言い方だと、自己変革能力の欠如、イノベーションのジレンマ。
例えば、三菱UFJが「明日から、店舗の9割閉鎖します。業務の8割はマニュアル化されているので、人員の7割を解雇、契約社員として再雇用、給与水準を半分にします」とはしない。
米銀も同様（日本の銀行より、この手のリストラクチャリングは進んではいるが）。
だから、Squareは自分の銀行を設立：
この銀行は、Squareが取引する中小企業向け。Squareは中小企業（例えばレストラン）の決済サービスを提供するだけでなく、それら企業に対しローン事業も行っている。
そんなSquare、個人向けサービスを立ち上げてもおかしくない。
こちらのblog postでは、super appを作るんじゃない？と推測している：
Square's Tidal Stake Hints At App Ambitions | PYMNTS.com
そうかも知れない、そうでないかも知れない。
天才／キチ〇イ紙一重の人達の考えることは分からない（分かるくらいなら、起業家になって成功してる）。
だからこそ、Square株買ってみようかな？という気にさせられる。
最後に、Square株価、直近１年：
PERは491.91！
