塾長です。
昨日(米国4/29)の米株は、多くの好決算を受けて上昇。ただ、多くが織り込み済みで、上昇幅は限定的。
S&P500、4,211(+0.68%)
Nasdaq、14,082(+0.22%)
債券、為替、コモ:
10年債、1.6400
ドル円、108.95
Bitcoin、53,405
経済指標:
1-3月期 GDP速報値[前期比年率]、6.4%(予想6.1%)
1-3月期 GDP個人消費[前期比年率]、107%(10.5%)
3月 住宅販売保留指数[前月比]、1.9%(5.0%)
同[前年同月比]、25.3%(27.5%)
米GDP、1-3月速報値は6.4%増に加速-個人消費が記録的伸び - Bloomberg
米中古住宅販売成約指数、予想より小幅な上昇-在庫不足が抑制 - Bloomberg
金融・財政政策、政治:
米労働長官、ギグワーカーは「従業員」に区分すべきだ-ロイター - Bloomberg
バイデン氏のインフラ・社会保障案、秋までに議会通過も-党結束が鍵 - Bloomberg
米大統領の所得増税案、カップルで年間所得5500万円超が対象-当局者 - Bloomberg
アメリカ、特にシリコンバレーで働いていたら、カップルで5500万円なんて簡単に超えてしまいそう。さすがに、左寄りなカリフォルニア住民でも、これには反対するのでは?
Ford続報、やはり(?)何か隠し事があるっぽい:
フォード株が10%近く下落、半導体不足や「紛らわしい」見通しで - Bloomberg
個別株。多くの企業決算が出ている。概ね良好。結構、結構。皆さん、私(投資家)のために一生懸命働いて下さい:
アマゾン、1-3月業績は予想上回る-コロナでネット利用の活況続く - Bloomberg
アップル株下落、成長の持続性と半導体不足を巡る懸念で - Bloomberg
ツイッター株が時間外で大幅安、4-6月売上高見通しが失望誘う - Bloomberg
スポティファイ株下落、コロナ禍で1-3月のユーザー数予想に届かず - Bloomberg
マクドナルド、世界売上高が約1年ぶりに増加-米国市場の需要好調 - Bloomberg
Fordが何か隠しているかどうかは別にして、半導体不足が厳しいのは間違いない様子:
半導体不足、アップルやホンダにも波及-自動車、ハイテクに影響拡大 - Bloomberg
そこで、米国では国が半導体産業にカネを入れて支援しよう/国内生産を増やそう、としているわけですが、元Cypress Semiconductor CEO C.J.ロジャースがCNBCに出演して、持論を展開していたヨ:
ーかつて国が半導体製造を推し進めようとしたときは失敗した。今回Intelのような企業を支援するのは問題か?半導体不足をどのように解消すべきと思うか?Intelの困難と、半導体不足は別々に扱うべきか?
・Intelが困っているのは、長年会社経営がうまくいっていなかったからだ。そこに、新しい社長が来た。私は彼と働いた事がある人を2,3人知っている。強い経営者(strong manager)だそうだ。Intelは返り咲くと期待する。
SEMATECH(Semiconductor Manufacturing Techonology)について言っておくと、1980年代に組織されたコンソーシアムで、政府が$500Mのカネを半導体産業にぶち込んだ。その結果はゼロ。カネを無駄にしただけだった。当時は、政府がなんとかして半導体産業を助けなければいけない、民主党は共和党を批判し、共和党は民主党を批判しといったお決まりの政治劇だった。そして、誰も必要としない半導体工場を建設し、それが稼働する前に、時代遅れになった。そして、それを光電子工学に転用し、閉鎖した。政府は助ける事ができないのだ。基本的にやれることは半導体企業にカネを渡すことだけだろう。米国には、世界で最も裕福な起業が複数存在する。私には、納税者が汗水たらして稼いだカネを、半導体製造企業に渡して、帳尻を合わせる理由が分からない。半導体が売れているのに、半導体製造企業は製品が作れないのだ。売れない時ではないのだ。
ーそれは公正な見方だと思う。しかし、米国半導体産業にかつての輝きは無い。どうして、Intelのような企業にカネを渡して、米国内生産を進めてはいけないのか?非現実的なのか?
・完全に非現実的だ。それでは、なぜ掃除機の製造を米国に取り戻さないのか?かつて米国は掃除機産業を発明したのに。
90%の半導体はコモディティーだ。世界では、12か国ほどが作れるだろう。どこで作ろうが関係ない。
私は半導体産業に60年前に加わった。当時、半導体を作るのが難しかった。PhD保有者が必要だった。それはもう正しくない。ハイエンドのプロセッサー、メモリー、アナログ半導体は別にして。我々は、それらを世界中の最先端企業を協力して作る必要がある。
あなたの質問に直接的に答えると、Intelは自分の銀行口座から$50Bを出して、米国に工場を作ればイイではないか。なぜ政府のカネが必要だというのだ。これだけカネが溢れていないというのに。
ーそうすると、次の質問はこうなる。多くの人が、車を買いたくても(半導体不足で)買えない状況にある。待つしかないのか?
・いくつかの企業が半導体不足の課題に直面しているのは間違いない。私が関わっている会社も、その一つだ。
なぜ自動車産業が半導体不足に陥っているか知りたいか?トヨタは例外だが、他の車会社は同じ理由。新しい半導体を作るのに、120日かかる。そのあと、運送して、パッケージにして、テストするのに2週間ほどかかる。半導体を注文しても、届くのは6か月後。それが最初のポイントだ。
2番目のポイントは、新しい半導体は、適格試験が必要だ。自動車産業の場合、半導体を適格だと判断するのに、12から18か月を要する。
そして、自動車産業は、在庫を半導体企業に押し付ける。彼らは「トヨタ生産方式」を採用している。彼らは「カンバン」と呼ばれる仕組みをもっている。工場の中に、黄色いテープで囲まれた狭い場所がある。スーパーマーケットで店員がパン屋に「俺の商品棚にいつも商品が置いてある状況にしておけ」と言うのと、同じことをやっている。
パンデミックが起こって、自動車会社は車製造を一時停止した。当然、半導体企業もそれにならって操業を止めた。それを元の状態に戻すには、120日は必要だということだ。
自動車会社が(半導体の)在庫を極限まで減らすと、そう言う事が起こる。単純なことだ。
企業経営者はきちんと会社を運営せよ。政府に助けなど求めるんじゃないゾ!(Run your company better. Don’t ask the goverment for help.)
はい、そう言う事です。
トヨタが今のところ半導体不足の影響をあまり受けていないのは、東日本震災の教訓でしょうネ。”トヨタの経営がうまいから”ではないと思いマス。(過去の教訓に学んでいるのは素晴らしい、とも言えるケド)