塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

リズ・ヤングの2022年投資テーマ

塾長です。

今朝(米国12/16、株式市場が閉じたあと)のReal Vision Daily BriefingにSoFi リズ・ヤング(Liz Young)が出ていた。彼女はCNBCにはチョクチョク顔を出しますが、Real Visionは初めてかも???珍しかったのでご紹介:

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ーいろいろなことがありました。株はDowが銀行に支えられたが、ほぼ全面安。VIXが上昇。債券はヨコ。金属は上昇。仮想通貨が下げ。今週は各国中央銀行の動きがあった。BOEが利上げ。オミクロン変異種が猛威を振るっている。メキシコ中央銀行が利上げ。ECBは利上げを見送った。今日のテック株の売りをどう見るか?

・今日の話をするために、昨日の出来事から始めたい。FEDタカ派に転換した。少なくともタカ派への転換を確認した。そして株が上昇。テックも上昇。面白い動きだった。今日テックが売られたのは、昨日の”修正”だったのだろう。今日は売られ過ぎだったように思う。年末が近づき、来年に入ると、金融引締めの環境に移行し、市場はその意味を見出さなければならない。しばらくは上下動を繰り返すだろう。

ー今年、株は大きく上昇した。年末に向けて利益確定があったりもするだろう。季節性(seasonality)はないだろうか?

・まずは季節性について、明確にしておく必要がある。年末の季節性、それをサンタクロース・ラリーと呼んだりもする。一方で、人々は税金のために損だしをする。また、来年はcapital gain増税が控えている。そういった事が起きているだろう。私が思うに、今年大型テックが上昇し、多くの人が含み益を抱えている、オーバーウェイトの状態になっている。彼らがポートフォリオを見て、一番含み益が出ているものから利確をしているのではないか。それがインデックスを押し下げたのだ。

ー次にFEDの話題に移りたい。「FEDはインフレに対応できていない」と文句を言っていた多くの人々が、(昨日のFOMC後パウエル会見を聞いて)FEDを信頼し始めたのには笑ってしまった。来年は利上げの年になりそうだ。

・これに関しては様々な事を言わなければならない。まず第一に、ジェローム・パウエルのポジションが可哀そうで仕方がない。非常に難しい職務だ。みんなが彼の一挙手一投足に注目している。私がいつも言っているジョークがある。彼が夕食会に出ていて「そこの塩を取ってくれますか?」と頼んだだけで、周りの人は「今の彼の言い方を聞いた?あれってどういう意味だと思う?」と囁き出すのだと。バカげた状況だ。昨日の会見で驚くべき事は何もなかった。市場が期待していた事をそのまま言っただけである。そして市場のセンチメントが急変した。

 FEDがテーパリングを加速したのは良かったと思う。もう少し早くすべきだったとは思う。テーパリング加速は、インフレへの恐怖に対して、いくらかの影響を及ぼすだろう。イールドカーブにも影響してほしいと思う。

 問題は、今市場がいる場所と、FED金利をどうしようとしているか、である。2022年に関しては、市場とFEDは同意している。3回の利上げだ。それは良い事で、FEDの動きで市場がビックリすることはないだろう。問題はその先。FEDは2023、2024年、金利を上げ続けると言っている。市場は金利が1.5%までしか行かないと言っている。FEDが利上げを始めれば、市場の期待の方がが変わっていくのかも知れない。市場はFFレートが1.5%までだと言っていて、10年債は1.4%台。市場にとってのクリプトナイト(市場を破滅させるモノ)は、10年債利回りを超えてFFレートを設定する事だ。この先、10年債金利が上昇すれば、市場はFED金利引き上げを容認するだろう。

金利を上げられるのも経済成長があるからだ。経済成長に関して、あなたの考えを聞かせてほしい。

FEDがブレーキを軽く踏んでいる(金融引き締めをゆっくりやっている)間は、経済成長に問題は起きないだろう。FEDが急ブレーキを踏んだら、成長は止まり、経済は後退。まだその可能性はある。それが10年債利回りが低いままな理由だと思う。

 FEDは急ブレーキをかけないために必要な事はすべてやるだろう、とも思う。FEDにとって雇用は重要である。2022年前期に起こるかもしれないのは、(利上げのために必要な)点が全て満たされたと言ってしまうこと。必要になれば、とてもゆっくり、整然と、クリアなメッセージを発しながら。たとえ3回利上げをしたとして、それが劇的に聞こえるかもしれないが、FFレートの下限は1.0%以下である。歴史的にみて、非常に低い位置にいる。

FEDはどの程度市場の動きを心配するのだろうか?それは彼らの責任(mandate)ではないはずだ。(訳注、FEDのmandateは、雇用最大化、物価安定、金融システム安定)

・その通り。彼らのmandateではないが、ここ2年間のFinancial Stability Reportに入れている。明らかにFEDは市場を見ている、金融政策が市場を動揺(upset)させいないように気を付けている。また、市場が正常に動くよう、行動を起こす。それが2020年初めに債券市場に介入した理由だ。

 ジェローム・パウエルの「クリスマスプレゼントとして欲しいものリスト」にはイールドカーブのスティープ化が入っているだろう。彼は、その他我々のような市場参加者同様、「なんでイールドカーブはこんなに平坦なんだろう、なぜよりフラット化するのだろう」と頭を搔いているのではないか。もし2022年正しい理由でイールドカーブをフラット化できたら、しなわち利上げをしても経済は正常に機能する、むしろ経済成長を助けるのだと市場を納得させられたとしたら、我々は非常に健全な状況を見ることになる。経済は成長し、企業が価格決定権を持つ。市場でローテーションが起こるだろう、10年債利回りは上がるだろうが、それが強い経済のもとで起こるのだとしたら、それは看過されるべきものだ。

ーオミクロン変異種についてはどうか。英国では患者数が増えている。米国も続くだろう。大学はオンライン授業になった。Citigroupがリモートワークに切り替えた。また中国で工場閉鎖が起こるかも知れない。またサプライチェーン問題だ。

・その通り。サプライチェーンが正常化すれば、インフレも落ち着くと言われてきた。また変異種が広まり、経済活動が遅くなれば、インフレ圧力となる。私は今ニュー・ヨークにいる。パーティーがキャンセルされたりしている。公共の場所ではマスクをつけなければならない。いくつかの店ではワクチン接種証明が必要。しかし、私は、米国においては、再度シャットダウンにはならないと思う。政治家はそれを試すことはできるが、人々は従わない。人々はコロナと共に生きる方法をゆっくり学んでいる。これが最初の変異種ではないし、最後でもない。ストップとスタートを繰り返すことはもう無い。

ー一つ質問がきている。Quadruple Expiration(Quadruple Witching)、FOMC、損出しなどがある中で、市場の方向性を結論付けることはできるだろうか?Quadruple Witchingはテクニカル要因ではあるが、大きな株価変動をもたらすこともある。どのような一日の値動きにも読み過ぎはは良くないだろうか?

・どのような日でも、読み過ぎは良くない。さらに言えば、もっと細かい話だ。市場オープン前の先物がどうだと考えるのも正しくない。8:45AM、先物が200ポイント下げていても、市場が終わってみれば400ポイント上昇していたなんてことは、普通にある。

 ただ様々な事柄が同時に起きているのも、その通りである。テクニカル、ファンダメンタル要因、年末。昨日の値動きは上方向に行き過ぎた。今日は下方向に行き過ぎた。そうは言っても、FEDが金融引締め方向の立場をとるのだとしたら、株価が下落する日はそれなりに多くなるだろう。5ー10%の修正があると言っているのではない。広く売られるのではなく、セクター間での相違、同じセクター内で個別株での相違が起きる。私の予想では、2022年前期、景気敏感株、割安株へのローテーションが起きる。バリュエーションが評価されるようになる。ファンダメンタルズ、利益の良い会社が買われる。古くからの投資家にとっては良い環境だ。ファンダメンタルズやバリュエーションで買う株を決められるようになる。

 (一部省略)

今は2000年初頭のテックバブルとは違う。当時はアイディアに投資して、成功するのを祈っていた。今は、例えばFAANGを見てほしい。FがMになったので、もうFAANGとは呼べないが。FAANGは今やBlue Chipとなった。例え、ぞっとする時期にも、人々はそれらの株を買い、持ち続けるだろう。一方、Stay-at-Home株、超成長テック株などは、圧縮を経験するだろう。フィットネス産業、ビデオ会議システムなどだ。新しい世界に入っていくとき、以前ほどの新たな需要は出てこない。さらに、利上げがある。

 話をまとめると、市場の一部では痛みがある。市場全体が下落するのを意味しない。しかし、あなたが持っている株に恋をしてはいけない。もし所有している株に恋をして、環境が変わってそれらの株に悪い環境となったとき、株を手放せなくなってしまう。他を買えなくなる。

 (一部省略)

ー最後の質問。2022年、良いと思っているセクター、投資テーマはありますか?

・まさに来年の見通しを書き終えたところだ。4つのテーマを持っている。1番目、競争激化。企業間だけでなく、過去の自分との競争。投資家は大きな期待を抱いている。2桁成長でなければ期待外れといったような。2020年に経済が止まって底をつけた。2020年の決算はその最悪期との比較なのだから、素晴らしいものになった。2022年、そうは行かない。2022年決算は「感動的」にはならないだろうが、それが正常というものだ。アナリストのS&P500の成長は9.9%。少なめに見積もる傾向があるので、12~15%となるだろう。結構良い成長率ですよね。今年は「50%増加」なんてこともあったが、悪くない。

 2番目、金融引締め、イールドカーブ。これはセクターによって違う。私はイールドカーブがスティープ化するだけでなく、全体として上昇して欲しい。もしそれが起きたとしたら、買うべきは金融株、景気敏感。成長株には下押し圧力。あなたのポートフォリオは、そのような環境から恩恵を受けるものであるべきだ。景気敏感と言ったのは、全てではない。工業、一般消費財。素材はやめておこうと思う。インフレがあるから。工業、一般消費財、エネルギーはOKだろう。景気敏感の中でもサイズに注目。小型株(small cap)の方が経済拡大期により恩恵を受ける。インフレ環境でも、小型株の方が良い。

 3番目、クリーン・エネルギーへの転換。既に買われているが、2022年さらに注目されるだろう。Build Back Btter Planだけの理由ではない。もちろん、それはクリーン・エネルギーへの投資となる。クリーン・エネルギーの周りに熱狂がある。EVに投資するときは、一つ二つを選ぶのではなく、全体を買った方が良い。ETFもある。古くからの車メーカーもEVを作る。周辺の会社もある。蓄電池、半導体など。

 最後、4番目、通貨の変動。2022年も続くだろう。今日も見たように、各国中央銀行が異なるスピードで利上げを行う。それが通過の変動をもたらす。仮想通貨も良いだろう。

 (一部省略)

長かった!省略したのは主に仮想通貨の部分。個人的にも仮想通貨に注目しているけれど、変化が激しすぎて、アナリストの話を聞くような段階ではないと思っているので。

10年債利回りが低いのを、市場は低成長(もしくは停滞)を見込んでいる、と解釈していますね。パウエルさんの見立て※1とは異っている、というか、多くのアナリストがリズ・ヤングと同じ見解。

彼女の2022年投資テーマを聞いて、銀行株を買いたいと思ったけれど、イールドカーブのスティープ化は起こらないかも知れないし、だったらS&P500で良いじゃないかと思ったり、思わなかったり・・・。

 

※1:

alibertarian.hatenablog.com