塾長です。
昨日(米国1/15)の米株市場は、反転してサゲ。底を作ろうとする動きですネ。
S&P500、4,356(-1.22%)
Nasdaq、13,539(-2.28%)
【米国市況】株が反落、日中安値からは回復も-FOMC決定控え - Bloomberg
セクター別の勝ち組はエネルギーと金融。負け組はテクノロジー、通信。
債券、為替、コモ:
原油、85.31
10年債、1.7830
ドル円、113.8840
Bitcoin、36,925
米政府、戦略石油備蓄から7社への貸与発表-過去2番目の規模 - Bloomberg
”貸与”なんですね。払下げ(売却)だとばりかり思っていました。貸与というからには、現物で返す必要があるのだろうか?カネで返してもらう(=売却)の方が楽だろうに。
経済指標:
11月 ケース・シラー米住宅価格指数[zン年同月比]、18.3%(予想18.0%)
11月 住宅価格指数[前月比]、1.1%(1.0%)
1月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、113.8(111.8)
1月 リッチモンド連銀製造業指数、8(14)
米消費者信頼感指数、1月は低下-経済・雇用への期待悪化で - Bloomberg
米20都市住宅価格指数、11月は伸びが若干鈍化-4カ月連続で減速 - Bloomberg
そして、IMFの経済見通し。
IMF、2022年の世界成長見通しを下方修正-米国と中国が軟化 - Bloomberg
日本の22年GDP予想3.3%に上方修正、金融面での支援後押し-IMF - Bloomberg
IMFはバイアスがかかっているような感じがして、今一つ信用できない(IMFにバイアスを持っている)。
地政学:
この報道は興味深い。侵攻されそうな側のウクライナから「戦争を煽っているのは、西側だ」発言:ウクライナ国防相、ロシアによる侵攻のリスクは深刻視せず - Bloomberg
ウクライナのレズニコフ国防相は25日、ロシアによる本格的な侵攻のリスクについては深刻視していない姿勢を示した。ロシアの脅威は8年前から大きく変わっていないと主張し、最近の緊張の高まりは国際メディアに一部責任があると指摘した。
ここでは「国際メディアに一部責任」とあるが、メディアは西側政府の意に沿った報道をしているだけなので、西側政府、特に英米?、に責任があると言ったのでしょう。
そう聞くと、こちらのニュースが違ったふうに見えてくる。1/23、ドイツ海軍のトップが、ロシアがウクライナに侵攻しようとしているとの考えは「ばかげている」と発言して、辞任に追い込まれた:ドイツ海軍トップ、ウクライナめぐる発言で辞任 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News。
制服組にしてみれば、ロシアのウクライナ侵攻なんて考えられないのだが、西側政治屋さんがロシア危険説を捏造している、と言った?
面白い陰謀論です。
そもそも、ロシアの意図も正確には分かりません。本当にウクライナをNATOに入れたくないだけか、もっと広範囲にNATO加盟国に制限をかけたいのか。クリミア併合の承認を求めているのかも知れない。
西側がロシア危険説を捏造しているのだとしたら、西側の意図も分からない。違う地域の動き(例えば、ロシア海軍、複数海域で演習へ 中東で中国、イランとも:時事ドットコム)を牽制しているのかも知れない。「天然ガスをもっと売れ」と圧力をかけているだけだったりして。
最終的な結果が出てから、逆算して考える必要がありそうです。
個別株:
昨日もたくさん決算発表がありました。大手では、GE、3M、Verizon、J&J、Microsoft、TI。
TI株急上昇、1-3月売上高に強気見通し-なお旺盛な需要示唆 - Bloomberg
米3M、四半期決算は予想上回る コロナ感染拡大でマスク需要増 | ロイター
米ベライゾンの第4四半期、契約件数が予想上回る 5G拡大で | ロイター
マイクロソフトの10-12月は増収増益、クラウド事業の成長は鈍化 - Bloomberg
GE決算、売上高は予想に届かず-事業分割計画は難航か - Bloomberg
大手企業決算は日本のメディアでもたくさん解説が出るだろうから、当blogではRaytheon CEO グレッグ・ヘイズ(Greg Hayes)のお話をご紹介。ジム・クレイマーがホスト。彼がホストすると、出演した会社の宣伝にしかならない傾向にあるので、その辺は割り引いて聞いて下さい:
ーRaytheon決算はマチマチだった。EPSは良かったが、売上はミス。
受注残は多く、民間航空部門が好調なようですね?
・非常に強固な4Qだった。EPSは良かった、利益が予想を上回った。売上は、我々が想定したほど良くなかった。事業売却を4Qに行ったのだが、それはもう少し遅くなる予定だった。そして、供給網の問題が売上に影響した、利益にはそれほどでもなかった。
事業にモーメンタムがある。民間航空は回復している。Pratt & Whitney航空部門は引き続き強固に成長するだろう。防衛事業は巨大な受注残がある。$60Bの受注残。RTX(=Ratheon)合計では$150B以上。
私は現状に満足している。
ー民間部門について聞きたい。Boeingは問題を抱えている。Airbus向けビジネスはどうだ?
・ビジネスは良い。OE(Original Equipment)側、A320向けのPratt & Whitney。この領域で最高だ。Boeing 737も良い飛行機だ。4,000の受注残がある。しかし、Airbusは7,000オーダーの受注残。A320が好きだ。A320に対するポジションが好きだ。ギアード・ターボファンエンジン。そのポジションを利用して行く。今後2年、Airbusは生産をパンデミック前の水準に戻す。
ー防衛事業について聞きたい。ウクライナ問題、台湾問題がある。米国は防衛に十分な支出をしていると思うか?もし米国兵8,000人をウクライナに送るとすれば、ロシア軍103,000を止められるだろうか?
・誰もがその答えを知っている。8,500対100,000では、戦術的と言うより、 象徴的な動きだ。我々はパトリオットミサイルなどを供給できる。しかし、最終的にこの戦争に勝者はいない。ロシアもこの計算を理解すべきだと思う。
もちろん我々の核となるミッションは、戦闘機をサポートし、同盟国を助け、世界の民主主義を守ること。我々には、これら戦闘(engagements)を助けるための技術がある。パトリオットやレイダーシステムなど。究極的には、我々はこのような取組み(ロシアの侵攻)が制御不能にならないようにする強い防衛力を持っている。Hot war(戦闘を伴う戦争)にならないように願う。もしそうなれば、どちらにとってもコストが甚大となる。
ー今朝のニュースについて聞きたい。FTCは、あなたの競合であるLockheed MartinによるAerojet Rocketdyne買収を阻止する動きがあるそうだ※1。あなたはこの買収が起きて欲しくなった。奇妙なことに、エリザベス・ウォーレン議員もあなたと同じ意見のようだ。あなたの反応を聞きたい。なぜこの買収が、反競争的なのか?
・市場を見る必要がある。ロケット推進器を作っているのは、2社だけだ。Orbital Atkは小さい方で、2年前にNorthropに買収された。もう一つがAerojet Rocketdyne。このような戦略的サプライヤーを最大の競合に持たれるというのは、競争的な観点から問題だと考える。同意判決(consent decree)があったとしても、もし品不足に陥った時、誰が供給を受けるのか、という問題がある。親会社に供給するのか、市場で売るのか。今日、買収が難しくなったのは理解した。防衛の領域で、さらなる統合(consilidation)はテーブルに乗らなくなるだろう。しかし、FTCの判断は正しいと思う。ロケット推進器のようなカギとなる部品供給者を独立状態にしておくのは、防衛産業を公平にするために必須だ。
ーハイバーソニック(極超音速兵器)にとって後退とならないか?中国は開発を進めている。
・まったく問題ない。我々は去年ハイパーソニック兵器システムを実演した。Northrop Grumman製スクラムジェットエンジンを搭載。ハイパーソニックにロケット推進器は使っていない。
Aerojet Rocketdyneは強固なビジネスを続けるだろう。RaytheonもLockheedもハイパーソニックに投資を続ける。それが我々が追い求めなければいけない重要な技術だから。
ー技術が未だに重要だと言う点について聞きたい。UAEは今週$2Mぶんのパトリオットミサイルを500ドル、1000ドルのために使った(訳注:安いドローン迎撃のためにパトリオットを打った、と言っている)。しかし、あなた方にはレーザー技術がある※2。それについて教えて欲しい。
・サウジとUAEが見つけた問題というのは、パトリオットミサイル、GEM-Tミサイルによる防衛システムを持っているが、それは一発$2Mもする。1,000ドルから5,000ドルのドローンを打ち落とすのでは、計算が合わない。我々は過去2年に渡って、ハイエナジー・レイザー・システムを開発してきた。砲塔のついて4輪車に載せて、50KWのレーザーを照射し、ドローンのような標的を2秒以内に撃ち落す。打つのにかかるコストはほぼゼロ。再現性は非常に高い。今最終生産にむけて開発が進んでいる。実演用のユニットを軍に渡した。素晴らしいツールだ。UAEのような国は、のどから手でがる程欲しがっている。中東向け輸出においてDODと協力して、ライセンス取得を進めるつもり。対ドローンのような、非対称な戦争を戦うために、最も効果的だ。
・・・。
まぁ、宣伝でしたネ。Raytheonの株を買う気になったでしょうか?
株価を確認してみましょう。下のチャートは直近5年。コロナ暴落前の株価まで回復していない。
PER 41.05、Forward Dividend&Yield 2.04(2.34%)。
物足りないですが、(これだけ調整しても)まだ株式市場は高値圏。この程度で妥協するしかないのか・・・。
※1:
Aerojet Rocketdyne: FTC suing to block Lockheed Martin buy
※2:プロモーションビデオがあった・・・。