塾長です。
さてさて、こちらはFEDウォッチャーのJefferies Chief Market Strategist デイビッド・ザボス(David Zervos)さんの登場。いつものように、FEDが今度どう動くのか、予想・解説してくれているので聞いてみましょう。
ーあなたは「FEDが(金融引締めに)積極的になっても、彼らは失うものが無い」と言っているそうですね。どういう意味でしょう?
・前回も話したが、住宅市場は過熱している、雇用市場では求人が求職者数を上回っていて、失業率は4%だ。議会から政治的な圧力がFEDにかかっている。それらは通常FEDに利上げサイクルに入らせる要因だ。言わずもがな、S&P500は30%上昇し、バブルの様相。CPI7.5%をなんとかしなければいけない理由はたくさんある。
市場はFEDを信用している。私がFEDの信頼性を測るために好んで使うのが5 year, 5 year forward breakeven inflationだ※1。それは去年1年を通じて変化していない。2%で落ち着いている。市場は、5年後のインフレ率が2%だと思っているのだ。
FEDが強く出る環境が整っている。
ー今朝入って来たデータであるが、ミシガン大学の調査、NY連銀消費者調査にて1年後のインフレ期待が高止まりしている※2。賃金上昇のスパイラルに入れば、FEDは3月0.5%利上げをするだろうか。
・私は、FEDが利上げよりも、バランスシートを重視すると考えている。FEDは利上げを急いでいるように見せたくないだろう。一度に0.5%利上げしたり、FOMC以外での利上げなどしたくないはずだ。そもそもFEDが金融緩和に使った手法が、$5Tをバランスシートに乗せたことだった。利下げ幅は、歴史的に見ればそれほどの大きくなかった。
ーFEDはバランスシート縮小を急ぐだろうか?ブラード以外のFED高官の話からすると、彼らがそれを望んでいるようには聞こえない。
・今朝のスティーブによるブラードへのインタビューが興味深かった※3。ブラードはバランスシート縮小を今にも開始したい様子だった。3月FOMCで話し合われることになるだろう、FEDのバランスシートに乗っている債券の借り換えをすぐに止めるべきか?と。それは、0.5%利上げではなく、0.25%利上げしつつ金融引締めを強化する方法の一つだ。
もう一つブラードは重要な事を言った。「Plan Bを持つべきだ」と。今年中ごろまでに彼らが望んでいるデータが現れなかったとき(訳注:インフレが高止まりした場合)、資産売却を考える(訳注:通常のバランスシート縮小は、買い取った国債の借り換えをしないことで行われる。資産売却とは、買い取った資産を市場で積極的に売る事を指す)、と。
今までパウエルは、そのアイディアを排除していない。
バランスシート縮小が今後1四半期か、1.5四半期(訳注:FOMCが3、5、6月に開かれる)のあいだ、話題の中心になるだろう。
利上げしたときの株価の動きはある程度予想できますが、バランスシート縮小を発表したときの市場の反応が予想できませんネ。
前回パウエル自身、バランスシート縮小した時の影響が読めない、と認めていたし・・・。
相場が荒れそうな予感(長い目で見れば、たいした話しではない。心の準備の問題)。
※1、5年後、さらにそれから5年間の平均インフレ率を予想したもの。こちらで確認可能:
5-Year, 5-Year Forward Inflation Expectation Rate (T5YIFR) | FRED | St. Louis Fed
※2:
米インフレ見通しが低下、2020年10月以来-NY連銀消費者調査 - Bloomberg
ミシガン大学によるインフレ期待調査はこちら(米国 ミシガン大学期待インフレ率):
※3: