塾長です。
昨日(米国3/29)の米株市場は、連騰。
S&P500、4,631(+1.23%)
Nasdaq、14,619(+1.84%)
【米国市況】S&P500種が4日続伸、和平交渉巡りセンチメント改善 - Bloomberg
原油、106.22
10年債、2.4000
ドル円、122.8510
Bitcoin、47,356
米2年債と10年債の利回り逆転、19年以来初-景気後退シグナルか - Bloomberg
ジム・ビアンコの解説によると(↓)、2年ー10年利回り逆転が数週間継続しないと、リセッションシグナルとは言えないそうですヨ。
1月 ケースシラー米住宅価格指数[前年同月比]、19.1%(予想18.4%)
1月 住宅価格指数[前月比]、1.6%(1.2%)
3月 消費者信頼感指数、107.2(107.0)
米20都市住宅価格指数、1月は前年比19.1%上昇-前月から加速 - Bloomberg
米消費者信頼感指数、3月は小幅上昇-堅調な雇用市場が下支え - Bloomberg
米求人件数、過去最高付近にとどまる-自発的離職者は小幅増加 - Bloomberg
米求人件数は1万7000件減の1126万6000件
ハーカーさん、CFS主催イベントで0.5%利上げを容認。
フィラデルフィア連銀総裁、次回0.5ポイントの利上げも排除せず - Bloomberg
「大規模な財政支援策とサプライチェーンの混乱、緩和的な金融政策を背景に、インフレ率は私やFOMCの同僚が懸念せずにいられる水準を大きく超えて上昇している」「インフレ期待が抑制できなくなるリスクを懸念している」
「われわれが直面している経済の不確実性の度合いを踏まえれば、次回会合での0.5ポイントという選択肢を排除しない。ただ現時点で断言はしない」
CNBCにも出ていて、こちらはもっとタカ派の印象。
まとめるとこんな感じ;
・私はドットプロットの中央値、今年0.25%利上げを7回、の立場。今は5月FOMC、0.5%利上げを支持しない。次に出てくるインフレ率の数字を見てから決めたい。数字だけが問題ではない。コンテクストが重要だ。本当にサプライチェーンが改善しているのか、といったこと。
・バランスシート縮小は早めに始めたい。”オートパイロット”で粛々と進める。毎月方針を変えたりしない。金利とバランスシート縮小の二つの変数を同時に変えるのは良くない。
・イールドカーブが反転した事については、一つの指標として捉えているが、全てではない。景気は力強い。
・物価については、中国のロックダウン、ウクライナ情勢が流動的で予測が難しい。4%後半だろう。今年のインフレ率が(FEDの予想である)4%になるためには、多くの事が正しく進む必要がある。
最近の地政学的不安定さから、グローバリゼーション化が見直され、難しいと言われていた上院でもCHIPS Actが通過。下院と一本化すると言っているので、半導体産業への補助金支出が成立しますネ。
米上院、半導体・対中競争力強化法案を可決-下院と一本化協議へ - Bloomberg
関連:米下院、対中競争力強化・半導体産業支援法案を可決 - Bloomberg
Bloombergによるウクライナ情勢まとめ;
【ウクライナ】ロシア、キエフの軍事作戦縮小を表明-米は懐疑的 - Bloomberg
まだ小ネタではありますが、勝手に最近注目しているクレディースイス関連;
クレディSに米議員が情報提供要請、対ロシア制裁に関する法令順守で - Bloomberg
その背景はこちら;
上でも書いた半導体産業への補助金、なかなか面白い議論があったので、ご紹介。
こちら、Intel CEO パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)のインタビュー(3/23、法案が上院を通過する前)。
・米国の半導体サプライチェーンは危機的。1990年、80%の半導体が米国と欧州で作られていた。今は80%がアジアだ。米国と欧州は、そのバランスを取り戻そうとしている。
欧州は既に同様の法律を通している。私は、この問題が急を要すると主張したい。
・米国が投資を怠れば、二度と韓国や日本のアジア勢に追い付けなくなる。長期的にアジアは地政学的に不安定。我々は今行動を起こさなければならない。
・私はこの情熱を持って、中西部をラスト・ベルトからハイテクセンターにしたい。それを加速するために議会の支援が必要だ(≒カネをくれ)。
なるほど、台湾だけでなく、韓国・日本も敵だ、戦うためのカネをくれ、と。論点をすり替えている・・・。
ついでに言っておくと、サプライチェーンから台湾を排除すれば、台湾の立場が低下して、中国に侵略されやすくなる、という意見も存在する。(日本も同じ)。アメリカ人としては、それでも構わないのかも知れないが。
Intelから追い出される前のゲルシンガーは半導体技術の話しかしなかったのに、戻ってきたらずいぶんと政治的な話をするようになったものだ、という印象。彼も既に61歳。Intelの株価を上げ、多額のボーナスパッケージをもらって引退したい、と考えるお年頃か。
こちら、Intel、5年チャート。
PER 10.75倍、Forward dividend & Yield 1.46(2.83%)。
AMDをメインにして、Intelをヘッジとして持つのはアリかな。個人的には、x86の先を見てTSMCをホールド中。中国が台湾に侵攻したら、諦める所存(そのリスクは許容する)。
こちらCypress Semiconductor 創業者で元CEO T.J. ロジャース(T.J. Rodgers)のインタビュー(3/30)。
・政府による$52Bの半導体支援策というのは、問題を作り出すだけだ。Intelは$100B、TSCMは$105B、Samsungは$200B投資すると言っている。そこに新たなカネをもらっても、すぐには生きない。工場を作るのに数年かかる。政府に新たな報告事項ができるだけだ。政府は半導体産業から手を引け、と言いたい。政府が半導体産業を助けた事は無い。過去、害を加えただけだった。SEMATECH※は失敗だった。バカな事は止めろ。
・SEMATECHでは、日本が半導体産業への恐怖から始まった。政府がカネを使い、人を雇い、テキサスに工場を作った。工場は小さすぎ、出来上がった時には時代遅れになっていた。私企業によるムーアの法則は政府のスピードよりも速く進む。その後数年間は補助金を出したが、捨ててしまった。その間、我々の会社(Cypress)は半導体工場の設備を買おうとしていたのだが、私のチームは最新式エッチング装置を見ることができない、SEMATECHのメンバーしか見ることができない、と言われた。SEMATECHは政府のカネを使って半導体製造装置会社に最新装置を作らせ、我々のような補助金を受けていない会社に使わせないようにしたのだ。このような事例はたくさんある。
・補助金を入れなければいけないという議論は、半導体産業がバカで自分たちの仕事を正しくできない、だからカネをやろう、カネさえ渡せばなんとかなる、との仮定に基づいている。
半導体企業は十分カネを持っている。もちろん、彼らも馬鹿ではないので、誰かが自由に使えるカネを持って現れたら、受け取るだろう。半導体産業はそれ自身で世界を変えた。私が大学生だったころの車の台数よりも、今は車一台に入っている半導体の数が多い(?)。それは自由市場の中の民間産業によってなされたものだ。ムーアの法則だ。自由市場を信じるか、政府の介入を信じるかの2択だ。政府はシリコンバレーから去るべきだ。
Cypressについてあまり知らないのですが、日本と米国が半導体でバチバチだった頃、米国政府の支援を受けられなかったのかな?もしくは、当時から自由市場を信じて、補助金を受けなかったのか。過去の全ての政府補助金が失敗だったというのは言い過ぎ。日本も政府の指導&補助金で半導体産業を立ち上げたし、その後の韓国も同様。政府の介入や補助金には無駄が多いし、悪い副作用も多い、というのであれば同意します。
ロジャースの方は既に引退済みなので、自らの信念を主張している、という事か。