塾長です。
昨日(米国5/30)は米国債利回りが下がったのに、株安。Bloomberg記事(↓)によると、「第1四半期GDP下方修正→景気が悪いならFEDは利下げするね、でも企業業績は下がるよね」という連想らしいが、今晩出るPCEデフレータや来週金曜日の雇用統計次第でまったく別の事を言っていそう。
S&P500、5,235(-0.60%)
Nasdaq、16,737(-1.08%)
【米国市況】株安・国債高、GDP下方修正で-円は一時156円38銭 - Bloomberg
原油、77.77
10年債、4.5540
ドル円、156.8270
Bitcoin、68,453
第1四半期 実質GDP[前期比年率]、1.3%(予想1.3%)
第1四半期 個人消費[前期比年率]、2.0%(2.2%)
第1四半期 GDPデフレータ[前期比年率]、3.0%(3.1%)
第1四半期 PCEコアデフレータ[前期比年率]、3.6%(3.7%)
4月 卸売在庫[前月比]、0.2%(0.0%)
4月 中古住宅販売成約指数[前月比]、-7.7%(0.0%)
同[前年同月比]、-0.8%(-2.1%)
米GDP、1-3月は1.3%増に下方修正-個人消費の伸び鈍化 - Bloomberg
米中古住宅販売成約、4年ぶり低水準-住宅ローン金利上昇響く - Bloomberg
■ウィリアムズ、ローガン;
NY連銀総裁、金融政策が景気を抑制している「証拠は十分ある」 - Bloomberg
米ダラス連銀総裁、政策金利が想定より景気抑制的でない可能性に言及 - Bloomberg
なし。
なし。
■Dell決算;
デル株急落、AIサーバー受注残で投資家期待に応えられず - Bloomberg
時間内-5.18%、時間外-17.71%。
■〆はCharle's Schwab リズ・アン・ソンダース。いつも通り、普通のことは淡々と述べている;
ー「年初の100日間でこれくらい上がると、その年の値上がりは大きい」などと言われるが、これには信頼性があるか?
・その年々でみれば、それらの逸話はまるで信頼性がない。さらに、そういったトレンドはインデックスのレベルで見られるかも知れないが、今年水面下で起きているのは・・・、S&P500は最大で7%下落だったと思うが、S&P500の組入れ銘柄は平均して14%下落した。Nasdaqに至っては-35%だ。巨大な4社のおかげで、真実はインデックスのレベルには表れない。多くの攪拌やローテーションがその下で起きている。それは市場やマクロの不確実性を表していると思う。
ー今週のトレーディングデスクでの疑問は、GDP成長率は平均以上なのか?EPS成長率はポジティブなのか?FEDは利下げしないのか?だったりする。あなたもそれらの質問を受けますか?
・「FEDは利下げするのか?するとしたらいつ?何回か?」といった室内ゲーム(parlor game)が未だ行われている。それらは経済統計が出るたびに変わるものではない。より株式市場、特に小型株に重要なのは、(国債)利回りだ。債券市場が株式市場の運転席に座っている。もちろんMOVE Indexや利回りは、FEDの政策の見通しに連結しているのだが、債券と株の逆相関は強い。資産総額が小さくなるほどその傾向は強い。小型になればなるほど、より金利に反応するからだ。それがリーダーシップを決めている。債券市場、特に10年債利回りが決めている。
ー債券に加えて、AIが勝者を決めている。年初来、SuperMicroやnVidiaは100%以上の値上がりだ。
・公益もね。
ー公益もでしたね。
あなたはAIテーマを買っていますか?AIが企業利益、生産性に貢献していると?
・我々が成長セクタートリオ(growth trio)と呼んでいるセクターにおいては、そうだと言える。成長セクタートリオとはMagnificent7を含むセクターのことで、Technology、Communication Services、Consumer Discretionaryである。しかしながら、興味深いことに、Tech、Commは未だに良いが、Con Discはマイナス方向に分岐している。それはAI関連ではないからだ。特にTeslaがそうだ。パフォーマンスがとても悪い。AIが経済や生産性を向上させるという話は信憑性がとても高い(compelling)が、未だ生産性の統計などに定量的に表れていないと思うが、間違いなく企業利益には表れている。
公益に関して言えば、多くの事が書かれ、囁かれている。市場に、少なくともインデックスのレベルで奇妙な事が起きているのか?と。伝統的にはディフェンシブとされる公益がリーダーになっている。しかし、あなたが言うように、公益がリーダーとなっているのは、投資家がデフェンシブな銘柄に向っているというよりは、AIが電力を使うというストーリーによるものだろう。
ということで・・・、
・今年に入ってからS&P500、Nasdaqというインデックスでみると大きな下落は無いが、インデックス内の個別銘柄で見ると最大下げ幅の平均はそれぞれ14%、35%である。それはインデックスの中で大きな攪拌、ローテンションが起きている事を示している。それが株式市場の真の姿である。
・その値動きを主導しているのは10年債利回りだ。金利が上がると、株価が下がる。この傾向は時価総額が小さくなるほど強くなる。小型株の方が(債務が大きく)金利の影響を受けるからだ。
・Magnificent7を擁する成長3セクター(Technology、Communication Services、Consumer Discretonary)のうち、Tech、Comm.が値上がりし、Cons. Disc.が値下がりしている理由は、AIに関連しているかどうか?である。
・AIが経済、生産性を向上させるのは本当だと思う。まだ実際の生産性向上にはなっていないだろう。(nVidiaのGPUが爆売れしたり、それを使ったクラウドサービスが使われたりして)企業業績には表れている。
・公益が株価上昇のリーダーとなっているのは、AIが電力を使うから。巷で「投資家がディフェンシブ銘柄に向っているのか?」と囁かれているが、そうではない。
だ、そうです。
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