塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

ビル・アックマンが仕掛けてきた。

塾長です。

7/22、ビル・アックマンが特別買収目的会社(SPAC、Special Purpose Acquisition Company)であるPershing Square Tontine Holdingsを立上げ、上場。

ティッカーはPSTH-UN(日本から買えるかどうか知らない)。

$20で2億株を売り出し、$4Bを市場から調達(≒4千3百億円):

Bill Ackman and Tontine Holdings rewrite the terms for SPACs

 

SPACは未公開企業を(基本的に)1社買収するだけを目的にした会社。IPOのプロセスをバイバスできる。

投資家は、SPAC設立者(=アックマン)を信じて投資する。この時点で、SPACが何を買うかは決まっていない。その後、SPACが未公開企業を買収。投資家は分け前を得る。

 

Yahoo Financeによるインタビュー。多分、上場した当日の7/22(水):

www.youtube.com

・SPACのアイディアは良いものだ。買収を目的とした会社を作り、その会社が未公開企業を公開企業に変える。未公開企業にとって効率的で、リスクが少ない。典型的なプロセスは、4、5、6か月かけて公開する。その間、様々に調査され、従業員は仕事どころではなくなる。従業員はメディアから取材され、ファイナンシャル・アドバイザーからは営業をかける。誰もビジネスに集中できなくなる。

 SPACはその代替となる。SPACは未公開企業のシニアレベルとだけ会話し、デューデリを行い、取引に入る。仕事の邪魔にならない。典型的なIPOでは、その当日まで売り出し価格が分からない。IPOが大きくなるほど、難しくなる。

 我々のSPACは$5Bをキャッシュで持つ。一つのユニコーンであると言って良い。そして、他のユニコーンと結婚するのだ。だからお化粧して、魅力的に見せている。

・・・(S1ではマチュアユニコーン、)

・世界は不確か。パンデミック前からそうだった。パンデミック後もそうだ。投資家は、そのような時代に抗える企業を探している。トレーダーは短期で上がったり、下がったりする会社を探している。我々はそうではない。

 我々は巨大な資本を投入して、多くの割合を取得できるビジネスを探している。そのビジネスは耐久性が必要だ。数人が車庫で働いているような会社ではない。石油価格で企業価値が変わるような会社でもない。

 我々の仕事は、質の良い、耐久性のある会社を探すこと。その会社は市場がクローズし、パンデミックがあってさえ、価値のある会社でなければならない。我々は自社のポートフォリオでそれをやっている。今年は良い結果を出している。超独占的企業。Chipotleは今年38%上昇した。ビジネスモデルの特性、デジタル化、効率の良いデリバリーによって。そんな会社を探している。

・SPACはDirect Listingのより良いバージョンと良いだろう。Direct Listingでは資本を調達できない。誰も価格を決めない。

 今後数か月かけて、我々は買収する企業を探す。最高の会社を選び、デューデリを行い、ビジネスを理解し、買収価格をネゴ。公開する時点で、15~20%を買う(???間違っているかも)。そのアナウンスを出すとき、「これが$1Bで買う会社です。この会社はこういう会社です。なぜ投資に資するかというと・・・」といった説明をする。投資家はそこで選択できる。嫌なら株を売る。これは未公開企業にとっても魅力的。IPOでは投資家をまわって売り込む必要がある。SPACでは、我々が判断する。

 我々は様々な投資家を引き付けている。ソブリンファンド、ファミリーオフィス。カナダ年金基金。それをマーケティング・ツールとして利用する。

 Direct Listingの場合も、SECへの登録プロセスを経る必要がある。

・米国経済は、30日間のシャットダウンを行っていれば、今より早い回復が期待できただろう。実際は、中途半端だった。州ごとに判断して、シャットダウン。今はその逆側をやっている。治療薬、ワクチンができるまで、人々はマスクをし、苦しい状況が続く。真の回復が始まるのは来年後半。21年Q1はトランジッション。ワクチンができると良いのだが。ファイザーアストラゼネカ、コバック。我々はそれらの会社に投資している(rooting)。

・不動産は広いカテゴリーだ。実際は、ビルごとの査定。

 ”オフィスの終わり”とは思っていない。密度は下がるだろう。最近10年は人を詰め込んだ。一人当たり7平方フィートくらい。密度が下がり、在宅勤務が進み、オフィスは生き残る。天井の低い古いオフィスビルは壊され、新しいものに建て替わる。天井が高く、モダン、アウトドアスペースのあるオフィスビルに価値がでる。

 小売り向け不動産は、NYでは値段が上がり過ぎた。世界的なチェーン店によってだ。そのあおりをうけて、一部の店は撤退せざるを得なかった。多分今がNYでレストランを開業するのに最適だろう。賃料は低い。競合は少ない。冬にかけて厳しいが、来春には良くなると思う。私は死ぬほど外食がしたいよ。

・こんにち、全ての会社はテクノロジー企業でなければならない。Low's、スターバックス、完全なテクノロジー企業(pure technology company)全てが。我々は完全テック企業に投資したことはない。Waymoみたいな会社には。このSPACは長期に想定可能な企業に投資する。そうすれば、その会社の価値が推定できる。完全テック企業の評価は難しい。我々が成熟したユニコーンと呼んでいる企業は、魅力的な経済的特性を持ち、高成長、想定可能、投資をすることで市場占有率が高まり、今の時点では多くのキャッシュを生み出していない、しかし、市場で良いポジションを得られる、テクノロジーを活用する、そんな会社だ。

 別のカテゴリーもある。Private Equityは大きなカテゴリー。Private Equityはコロナで打撃を受けた。それらが持っている会社にオファーできる。

 家族企業もそうだ。代々富を受け継いできた企業。跡継ぎがいなかったりする企業。

・女性が所有している企業、マイノリティーが所有している企業、退役軍人が所有している企業には素晴らしいものがある。

 我々はビジネス観点で正しいことをする。

 銀行を前もって参加させ、20%の経済価値を与える。通常の10~20倍。但し、銀行はチームとして、最高の結果を出すため、働く。

 これは今年最大のIPO。彼らなしには成功しない。

 様々な銀行や、アセットマネージャ、彼らを通して非常に裕福な人達がアンダーライトしてくれている。

 

 

 

今の市場環境としては、公開企業の値段が上がり過ぎ、債券も上がり過ぎ。一般投資家が手を出せないPrivate Equityがホット。但し、その分リスクも大きい。

孫/Vision Fundが失敗した(今日時点苦しんでいる)ので、巨大ファンドを立ち上げても、投資家が付いてこない。孫が一人で何でも決める、という批判もある。

SPACであれば、単発勝負で、分かりやすい。値段も手ごろになる。上場するので、一般投資家も参加できる。SPACの株を買うだけ。止めるのも簡単。株を売るだけ。

アックマンの名前をマーケティングに使える一方、責任は限定的。

いやー、こういう人達は頭がイイ。

頭がイイ人達の動きを見るのは楽しい。

 

投資家としては・・・。騙す・騙されるというと言葉が悪いが、投資家側に多くのリスクを負わせている。

普通は手出しをしないかな。

通常の詐欺師は、最初の1、2回は儲けさせてくれるので、このSPACは買いかも。(日本から買えるかどうかは不明)

1、2回成功したあと、3回目あたりで大きく勝負に出た時が危ない???

単に、通常のIPOで幹事会社が抜く手数料狙いであれば、良いのだが。アックマンなので、そんなチッポケな狙いではないはず。

 

まぁ、世の中に、他人を儲けさせようと仕事する人は誰もいない、という事デス。