塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

【デイビッド・トレイナー】Robinhood1株は、数ドルの価値しかない

塾長です。

先日「今年から来年にかけてRobinhoodの売上は増加するので、今の株価は安い」という意見を紹介しました※1。

安いと思っている人もいれば、高いと思っている人もいて、その中間地点に今の株価があるわけです。

ということで、今回はRobinhood株、高過ぎ派の言い分を聞いてみましょう。

Yhoo FinanceによるNew Constructs CEO デイビッド・トレイナー(David Trainer)のインタビューです:

www.youtube.com

ーRobinhood株が上昇している。キャシー・ウッドのARKKが2.4M株を買ったそうだ※2。それは、Robinhoodが先週Q4決算を出した後の事。売上を$7M以上ミスした。

 Robinhood IPOのとき、あなたはRobinhoodへ投資するリスクを様々上げていましたね。キャシー・ウッドの投資をどう思いますか?

・このレベルで買うのは理にかなっていない。IPO前、我々は投資家に警告した、この株の投資から遠ざかれと。今も同じ気持ちだ。

 最新の決算は、ビジネスがうまく行っていない事を明らかにした。利益を出すほどスケールできていない。ビジネスがカネを生み出していないなら、どれくらい生き残れるだろうか?非常にコモディティー化が進んだ製品だ。ほとんどの洞察力のある投資家は、キャシー・ウッドの分析、彼女が何に投資しているかを重要視していない。Robinhoodは、在宅勤務、コロナ関連テーマでホットになっただけの株。消滅していっている。私には、ビジネスの伸びしろがあるように思えない。

ー株価の動きに伺いたい。急落しているのは、期待が高過ぎたのか?Robinhoodは減速を警告していた。去年はミーム株取引で盛り上がった。投資家はそれが続くとは期待していなかっただろう。

・期待については、その通りだ。多くの投資家は期待値が株価に織り込まれていると理解していた。しかし、ほとんどの人は厳密に将来の売上、プロフィットマージン、キャッシュフローがどれだけ織り込まれているか、定量化して考えない。Robinhoodは、熱狂した投資家が行き過ぎた好例だ。彼らは、Robinhood株がどれ程高すぎるのか、理解していなかっただろう。我々は、株価が上昇している時にも言い続けたし、IPO前のレポートで株価は9ドル以上の価値は無い、と書いた。それは達成していない多くの成長を織り込んだものだった。多分、株は一桁台前半(low single digit)の価値なのだろう。大企業が、ユーザーベースを狙って買収するのを願うしかない。

 「無料で株取引」なんて誰でもできる。株取引をゲーム化するのは、規制当局が認めていないものだ。Robinhoodのビジネスにモート(堀)はあるのか、私には理解できない。もしそれがあるとしてだが。

ーSECがpayment for order flow※3に対して調査をしています。それはRobinhoodの売上の多くを占める。payment for order flowが禁止される可能性はどれくらいあるだろう?Robinhoodに代替策はあるか?

・株取引に手数料を取る事だろうね。これは、大手インターネット証券にたいして、大きく不利な点だ。彼らは自社で運用していない。もしpayment for order flowが禁止されれば、Robinhoodはオシマイだ。ハハハ。

 私には規制当局が禁止すべきかどうか分からない。なぜなら、投資家はより利口になっている。(Robinhoodの)投資家は取引を監視されている。あなたがどう思うか知らないが、私は、自分の株取引情報を渡して、それを先取りされてまで、無料で株取引をする気になれない。良いビジネスモデルではない。健全でない。誠実だと思えない。

 以前から言っているように、Robihhoodのビジネスモデルは、あなたの取引情報を売って、買った側が先回りできるようにして、カネ儲け。お互いを喰いあっている。投資家に、追加のIPO情報を売っている。一般投資家は利口になっている。規制当局に関係なく、payment for order flowを拒否してもおかしくない。

ーあなたの想定に仮想通貨は含まれてますか?Robinhoodが仮想通貨取引を始めるのは、大きな成長機会になりませんか?

・再度言うが、そこに差別化はあるだろうか?Binance、Coinbaseと何が違うだろう?大手の金融機関も仮想通貨を扱っている。仮想通貨やりますと言っただけで、ビジネスモデルが機能していないのを不問に付すことはできない。Robinhoodが仮想通貨で、他社が出来ない何かを提供できるだろうか?何もないだろう。トレードは、コモディティー化したサービスだ。Robinhoodだけでなく全ての証券会社が考えなければいけないのは付加価値だ。客に何度も取引させる事だけ考えていてはダメだ。客にインテリジェントな取引をさせられるか?それが新しいステージ。それがビジネスのモートになる。客がインテリジェントにカネ儲けする、より安全に投資するのを助けるべき。より長く市場に留まるのを助けるべき。自社の利益になるからと言って、客に常に取引するよう仕向けてはならない。

ーRobinhoodを買収するとしたら、誰が買うでしょう?

・私は被買収を推しているのではない。それは救済措置だ。今のキャッシュフローでは、株価は数ドルの価値もないかもしれない。payment for order flow無しに、無料の株取引を提供できるだろうか。顧客数は価値があると言えるくらい。誰にとって価値があるかは、分からない。私が買収されると言ったのは、ゼロ以上の株価を正当化するためでしかない。

いかがだったでしょうか?

同じ会社、同じ決算を見ているのに、ある人は1株48ドルだと言い、別の人は数ドルの価値だと言う。

自分では若い会社に投資しないで遠くから眺めるだけですが、なんと興味深いことか!

 

 

※1:

alibertarian.hatenablog.com

 

※2:

キャシー・ウッド氏、ロビンフッド株を買い増し-最安値で押し目買い - Bloomberg

 

※3、Payment for order flowについては、この辺を参考に:

米オンライン証券のビジネスモデルPFOFが改めて注目を集める | 2021年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)