塾長です。
2月11日、CNBCに債券王ジェフリー・ガンドラックが出演。その放送は有料だったはずだけれど、彼の会社(DoubleLine)のyoutubeチャネルで配信してたので、要約してご紹介。
ーブラードのコメント※1を聞いていると思うが、FEDは何回・いくら利上げするだろうか?
・3月FOMCで0.25%に利上げすると予想。1/3の確率で0.50%だ。今年、5回の利上げ(=1.25%)。
我々は2021年に入った時から、インフレを懸念していた。その時、CPIが5%台になるかもと言っていたが、実際7.5%になってしまった。7.5と聞くと、2桁台のインフレ率が頭をよぎる。私が子供だった頃、ジミー・カーターが大統領だった頃とそっくりだ。当時も今も、実質金利が大幅なマイナス。巨大な刺激策が無くなろうとしているのだから、市場が混乱するのはもっともだ。
ー5回の利上げで十分だろうか?ソフトランディングは可能か?
・私はソフトランディングを見たことが無い。「今回は違う」「まだ金利は低い」と言う人がいるが、金利が少しでも上がればインパクトはあるものだ。
市場は1.5~1.75%への利上げまで織り込んでいる。何かが壊れるまでFEDは利上げし続けるだろう。過去そうだったように。
経済はリセッションに向かっている。そう指標に表れている。ミシガン大学消費者態度指数は61となり、酷いものだ。将来見通しも劇的に下落した。イールドカーブもフラット化している。
FEDはFFレートを引き上げ、QTを行う。前回同じ事をやったのは2018年4Q。株式市場は弱気相場に入った。
米国株より、新興国株を勧めている。
財政赤字が巨額になり、財政的な歯止めがかかっている(fiscal drag)。
サプライチェーンに大きな問題を抱えている。カナダとの橋が封鎖されている※2。カナダは最大の貿易相手国なのに。インフレは継続するだろう。FEDは出遅れている。利上げがあれば、リスク資産は影響を受ける。誰もカネを稼ぐことはできない。
ーインフレが収まるとは思わないのか?
・インフレ率は下がるだろう。しかしその下落幅には落胆させられる。コモティティーや住宅価格がピークをつけても、賃金や住宅費用がCPIを下支えしてしまう。2022年のCPIは少なくとも5%と予想する。7.5%より低いが、FEDのターゲットとしてる2%近辺にはほど遠い。
通常であれば、10年債利回りは、今より1%高く出るべきだ。そして、それを基にして、全てのリスクアセットの値段が再設定されることになる。
米国以外の株を勧めている。新興国や欧州株。
余計な刺激策の恩恵を受けていた資産から、そうでなかった資産に行くべきだ。
ー市場は持ちこたえている。回復力を見せている。
・クレジットスプレッドは静かに拡大している。今は大したことないが、クレジット市場は、最初ゆっくり、その後急激にダメになる。金利が上がり、債券利回りがマイナスになる。誰もマイナスのリターンを生む資産を買いたいと思わない。
成長株と割安株のPERを比べると、成長株が異常に高い。逆転が起きる。
ドル高についても同じ。FEDが利上げすれば一時的にドルは上がる。しかし、逆転するだろう。
これは短期のトレードではない。何年にも渡って起こるトレンドとなる。4,5年は続く。
ーあなたは2018年4Qの再来があると言った。金利が上がるとも。短期的な米国株の予想は?
・短期的には安定するだろう。FEDのタカ派転換は織り込まれた。3月までは安定状態が続くだろう。
ークレジット市場での機会は?
・裏付けのある資産、morgage backed securitiesか、floating-rateの債権が好ましい。銀行ローンなど。短期の、floating-rate債券が望ましい。
ー仮想通貨はどうか?
・私は仮想通貨をロングもショートもしない。ボラが高すぎる。
ー今年末の10年債利回り予想は?
・時期を切った予想はしたくない。10年債利回りは2.5%に向かっている。今年中に、3%でピークを付ける可能性はある。リセッションの恐れから、そこまで行かないとは思うが。今年後半、経済活動が停滞する可能性が高い。
ー日曜日はどうなると思う?
・Ramsが勝つ。
今回もガンドラックの意見に変化は無いようです。経済刺激策の切れた/金融緩和が終了する米国(株、ドル)に対して弱気。米国株より欧州株、新興国株。成長株より割安株をお勧め。なぜ日本株を勧めてくれないのだろう?割安ですよ???
ジム・ビアンコと同じく「FEDが利上げし過ぎて、米国は経済停滞に陥る」がベースケースの模様。今回は違うと信じたい。まぁ、そうなったとしても、そこが買い場になれば、塞翁が馬。
しかし、ドル安なんて来るのだろうか?金利が上昇するのに?ドル安=米国外売上の高い企業には追い風、という点も考慮が必要。
日本人独自要素として、「ドル安トレンドが来る」としても、対円でドルが安くなるとまでは言っていないので、その点はご注意を。
ガンドラック、少なくともスーパーボウルの勝敗予想は当たりましたネ(ラムズがスーパーボウル制覇 ベンガルズ破り、22季ぶり―NFL:時事ドットコム)。
※1:ブラード総裁、大幅利上げを支持-7月1日までに合計1ポイント - Bloomberg
※2、昨日解除されました:米・カナダ国境の橋開通へ、警察がデモ参加者を排除 | ロイター