塾長です。
昨日(米国12/14)の米株市場は、朝からアゲ、FOMC後パウエル会見後ズルズル。
S&P500、3,995(-0.61%)
Nasdaq、11,170(-0.76%)
【米国市況】株反落、利上げ減速もパウエル議長はタカ派姿勢示す - Bloomberg
原油、77.36
10年債、3.5030
ドル円、135.2560
Bitcoin、17,823
なし。
■ FOMC終了。FFレートを4.25ー4.5%のレンジに、50bps引上げ;
FOMC:FRBよりも成長が大きな不確実性-市場関係者の見方 - Bloomberg
パウエル議長、「なお道のり残る」-0.5ポイントに利上げ減速後も - Bloomberg
今回はThe Summary of Economic Projections(SEP)も発表された。例えば、2023年失業率が4.6%(中央値)になると予測されている。そのうち、偉い人が解説してくれるはず;
The Fed - December 14, 2022: FOMC Projections materials, accessible version
パウエル会見はこちら;
まだ前半しか見ていないが、個人的に気になったやり取り(Q&A)は2つ;
Q:前回FOMCから住宅金利は下落、high yieldスプレッドは縮まり、株価は上がった。これは金融環境を緩めるものではないか?インフレと戦っているFEDにとって、これは問題ではないのか?問題だとしたら、どうするつもりか?
A:金融環境が金融政策を反映するのは重要だ。金融政策は、金融環境を通して実行される。
(このあと、金利をまだ上げるつもりだ、SEPはこうなっている・・・的な話をしたが、結局「どうするの?」に対しての答えは無し。すなわち、これまで通りSEPを出したり、FED高官メディアに出て「もっと利上げが必要だ」と叫び続けて、市場にメッセージを送るくらいしか出来る事は無い、と言った)
ーーー
Q:利上げペースを落とすのは、前回FOMC後(FED高官によって)語られてきたことだ。(11月)CPIは下がった。(金利に関する決断を)金融政策が効果を発揮するまでの時間差を考慮に入れて、毎回のFOMCで決めると言ったが、それは次回FOMCで0.25%の利上げに留め、terminal rateがどうなるか探るという事も含まれるのか?
(超難しく言っているけど、「CPIが順調に下がっているので、次回FOMCでは0.25%利上げに留めて、terminal rate(今回の利上げサイクルで最も高い金利)が予想以下になったりしませんか?」と聞いている)
A:あなたが言った事は、大まかに正しい。CPIが急激に下がり、金融引締め効果がパイプラインにあるのだから、金利引き上げのペースを落とすのは正しいと考える。そして、リスクとバランスの取れたところまで金利を上げて行く。
そうだとしても、今(今後の)利上げサイズを言う事はできない。様々なデータ、環境次第だ。
Q:(追加の質問があったが、マイクが通っていなくて聞き取れないが、多分、今回のSEPは11月CPIデータを反映していないのでは?と聞いている)
A:いや、そうではない。SEPはFOMCで利用可能なデータを使っている。FOMC参加者は会議中にSEPを変えることができる。FOMC1日目に出たデータであろうが、重要なデータを反映しないなんてことはない。
ということで・・・、
・物価下落→(FEDの動きを先回りした市場が)債券を買う→利回りが下がる→金融環境が緩む(=インフレ的)としても、FEDが持っている債券を売って長期金利を人為的に操作しない
・次回(2023年2月)FOMCでは、0.25%利上げ、利上げ停止もあり得る
と言いました。
■ Payment for Order Flow(PFOF)禁止?;
ウォール街の株式取引、抜本的変革へ-SECが新たな改革案提示 - Bloomberg
米国では、投資家がCharles SchwabやRobinhoodといった証券会社に注文を出すと、私設証券取引所(Citadel、Virtu)で売り買いのマッチングが図られ、漏れた分が正規の(?)証券取引所であるNYSE、Nasdaqに送られるという仕組みになっている(みたい)。
この仕組み自体とても怪しいので、禁止するのは当然と言えばそれまで(欧州では禁止だったと思う)。
陰謀論視点で見ると・・・、
Citadel CEOはケン・グリフィン。次期大統領選挙で共和党候補が勝った暁には財務長官になると言われている。
ちなみに、ケン・グリフィンは一昨日、彼の納税記録を公にしたとしてIRSを訴えている;
Billionaire Ken Griffin sues the IRS after his tax records were disclosed
現政権は民主党。
(今回この改正の旗を振っている)ゲンスラーSEC委員長は暗号資産規制失敗(Terra/Luna, FTX)で失った政治的信頼を取り返そうとしているようにも・・・。ゲンスラーはイエレン後の財務長官を狙っているとも言われている。
・・・、なんちゃって。
なし。
なし。
■ 長くなってしまったので、債券王ジェフリー・ガンドラックのFOMCに対する反応で〆;
・パウエルの声明よりも債券市場が重要だ。dot plotは5.1%まで利上げすると言っているが、既にFFレートは2年債利回りを超えている。通常起こることは、2年債利回りがFFレートを先行し、FFレートが追い付いた後に、2年債はピークアウトする、それでもFFレートが上がり続ける。今起きているのが、それだ。
今、FFレートは2年債利回りを上回り、様々な指標がリセッションを指し示している。
我々はCPIが今後6か月、下がり続け、6月に発表される5月CPIが4.1%になると予想する。主に、コモディティ価格とベースエフェクトのせいだ。
債券市場はインフレのピークアウトを織り込んだ。とても大きく利回りが下がっている。皆がこれについて語らないのは驚きだ。長期債は90bpsも下がった。10年債は75bps下がった。2年債でさえ50bps下がった。これらのレベルは、リセッションが来ると示唆している。
パウエルは失業率が3.7%から4.6%になると言っている。失業率の12か月平均は3.9。これは非常に重要だ。失業率はラグのある指標であり、12か月平均線を上回るというのは、経済が非常に弱くなっている事を示している。
これは新しい考えではないのだが、金利はピークを付け、市場はそれを予想した。既にゲームの後半だ。パウエルはMr. Magooのように何かにぶつかるまで、彼なりの運転をし続けるだろう。しかし、我々は6か月でCPIが4.1%まで改善すると予想する。それは2%まで遠いが、9.1%だったことを考えると、とてつもなく大きいと言える。
続きの動画;
「FEDは既に物価上昇率の目標を引き上げている。2%にまで下げれば、そこで止まらないからだ。」的な事を言っている。
彼は(別の機会において)「FEDは金利を5%まで上げられない」と言っているのだが、これはその根拠(の一つ)。
上記、超簡単にまとめると、こんな感じ?;
- パウエルが何と言おうと、債券市場は、FFレートはこの辺りで打ち止め、2023年は景気後退に入ると言っている。大抵は、債券市場が正しい。既に金融引締めサイクルは後半戦。
- 我々(DoubleLine Capital)の予想では、2023年5月CPIは4.1%。目標の2%までは距離があるが、今年6月につけた9.1%から見れば、大きな改善。
- パウエルは自分の道を行こうとするので、さらに金利を引き上げる可能性はある。
- FEDは内部で目標とする物価上昇率を引き上げている可能性はある。(←ガンドラックの希望的観測では?)
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