塾長です。
米国で、また麻薬がらみの企業不正?というニュースがありました。
・大手薬局がADHD処方箋に対して厳正な対処をしている。事情に詳しい人がWSJに語ったところによれば、Walmart、CVS、WalgreensはCerebral、Done Healthといった遠隔医療提供者からの処方箋に対して薬を提供するのを拒否している。どちらの会社も30分のオンライン診察でADHDを診断する。WSJによると、それらがあまりに多くのAdderall(アデロール)のような薬を出している。この薬は簡単に乱用されると評判だ。実際、FDAはAdderallをコカインと同じ分類にしている。
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Adderallはアンフェタミンを商品化したもの(Adderall - Wikipedia)。
アンフェタミンは、もちろん日本では覚せい剤扱い。
作っているのはShire。Shireの親会社は武田薬品・・・。
Shire's long-acting ADHD drug wins U.S. approval | Reuters
元記事は有料かな?と思ったら、無料で読めるようになっていましたヨ。素晴らしい;
CNBCと違い、WSJは「Cerebral、Done Healthで診断を担当する従業員が懸念している」という仕立て。実際に何人かの従業員・元従業員から話を聞いて、記事の中で引用している。個人的に気になったポイントを拾ってみると・・・
- Adderallは、連邦政府によりコカイン、OxyContin、Vicodinとともに”Schedule 2”薬物に指定されている。
- 多くの州では、看護師がSchedule2薬物を処方することが可能。
- 2020年3月から(コロナで外出できなくなった時)、米国ではSchedule2に分類される薬を病院に出向かなくても処方できるようにしたのが、このAdderall処方増加の一因。
- Cerebral、DoneはTiktok、Instagram、Googleをうまく活用して宣伝している。
- Cerebralは2019年設立。Softbank Group、Silver LakeなどのVC資金が入っている。オリンピック体操競技のシモーネ・バイルズをスポークスマンとして起用している。
- Doneは元Facebookのproduct designerによって創業された。投資家には元フットボール選手ジョー・モンタナも名を連ねている。
Cerebral、Doneともに未公開企業です。
Tiktokでどんな宣伝をしているかというと・・・(これは必見);
”Cerebral ADHD”と検索してみると、ステマ(?)も出てくる;
なるほどネ。オピオイドはもう古い、今の若者にはAdderallだ、と。
Softbank、相変わらず危ない橋を渡っている。
Cerebralの看板娘になっているシモーネさんは東京オリンピックにも来ていた人で、(残念なことに)性的虐待でも有名になってしまいました;
そのシモーネさんが出ているCerebralのコマーシャルがこちら;
「性的虐待を受けて気分が落ち込んだらCerebralに電話してAdderallを買おう」と受け取れる内容では?吉野家「生娘シャブ漬け」よりマズイ。なんと言っても、こちらは本物のシャブだ。
オピオイド危機では、製薬会社や薬品卸が多額の罰金を払っていましたが(まだ全て決着したわけではない)、これも同じような道を辿るでしょうか?その時、武田薬品はどうなるでしょう。武田が(当時PurdueやJ&Jがやったように)覚せい剤を積極的にバラまいていないとしても、「オピオイドで散々騒がれたのだから、この手の薬の売上が急激に増えたらおかしいと思うべきだ」と訴えられる可能性はある。
投資家(Softbank Groupなど)まで訴えられるかというと・・・、Theranos(セラノス)のケースを見る限り、無さそう。
参考:以前、telehealth企業Lemonaidを取り上げました;
【Party All The Time】アメリカ、最高。 - 塾長の資産運用