塾長です。
元FED副議長ロジャー・ファーガソンと、元財務長官ローレンス・サマーズが、米国の金融政策、次の金融危機対応について語ってるヨ:
・サマーズが2013年にIMFで講演したとき、永続的な低成長について警告した。それが現実になろうとしている。
・今週、元FED議長イエレンが同調した。「サマーズの長期的停滞理論に同意。金融危機の前から、先進国は構造的に貯蓄増大、投資減少。それが金利低下を招いている」
・長期停滞は、経済成長と金融安定化と財政倹約のトレードオフを引き起こす。
・2013年に長期停滞理論を発表した当時に比べ、赤字が膨らみ、金利が低く、貸出残高が伸び、資産が高騰。
・アクセルを底まで踏んでいるのに、車の速度は上がってない。低成長に低インフレだ。
・民間セクターの力が衰えた。負債を増やし、とんでもない金融政策を取ることでしか、エネルギーを得られてない。
・問題は、それがいつまで続くのか?、副作用は何だ?である。
・一般に、中立金利は、2~3%ポイント下がったと言われる。
・私の研究では、世界的な債務増大がなければ、中立金利は4~5、計算によっては、6~7%ポイント下がった。
・根本的な構造的課題、すなわち、人々が長生きするにつれ貯蓄するようになり、技術革新によりモノの値段が下がり、余剰資金が資産価格を押し上げる。
・それは、日本の苦境と同じ状況。金融ブラックホールと呼んでも良い。
・前回の金融危機からの回復には、中央銀行が重要な役割を果たした。金利を下げ、QE実施、フォワードガイダンスを上手く使うようにした。
・問題は、次回の金融危機でそれが十分かどうか。
・通常景気後退時には5%ポイントの金利引き下げ。今の金利は2%以下。QEが[差分の]3%を補うかは疑わしい。
・政府支出によって人々のポケットに直接金をねじ込む必要がある。古くなったインフラ強化なんかは良い。
・危機時に毎回議会が決めるのではなく、ある一定のルールを作り、財政政策をとれるようにするのが、”セミ・オートマチック・安定化装置”のアイディア。
・FEDは難しい道を歩んでいる。問題を解決するための弾を打ち尽くしたとは言えないが、危機に対する警告は発しなければいけない。
・”セミ・オートマチック・安定化装置”には問題が2つある。
・1つは、議会が財政の決定権を手放すことはない。それが政治。
・2つは、日本は財政政策を散々やったのに、低成長で、インフレ・デフレの間をふらふらしてる。
・次回の危機では、マイナス金利に入らない範囲で金融政策は積極的になり、かつ、財政がもっと早く積極的に入るべきである、のは確か。
サマーズは昔ながらの経済学者だからね。ロジックは綺麗。ロジックというより、ナラティブか。
財政が入った方が良いというのは、賛成。今でも遅すぎるくらい。
市場に金をタブつかせても、資産価格が上がるだけ。会社が借金して、自社株買いするのは、その好例。
まだ道路、鉄道を敷いた方がマシ。将来、それが新たな価値を生む源泉になるハズ。