塾長です。
昨日(米国5/18)は、米国株が大幅に上昇。気分よく朝を迎えられました。
しかし、その理由がFEDだったり、ワクチン開発であったりで、面白い分析が落ちてない(贅沢な悩み)。
皆さん口をそろえて「Wall StreetとMain Street(実体経済)が乖離している」と。
唯一目に留まったのが、Yahoo FinanceによるAcademy Securities ピーター・チアのインタビュー:
・ジョブ・マーケットに問題があるのは間違いない。
多くの企業がシャットダウンしている。
しかし、一歩下がってみてみると、異例の、未曽有の、かつて例の無い、と言いながら、全てを既存のモデルに突っ込んで考えているのではないか。
PPPは企業の労働者解雇にインセンティブを与えている。
解雇された労働者は、比較的高い失業手当を受け取れる。そうすると、働きたくなくなる。
企業がシステムを弄んでいる(gaming the system)のではないか。
失業者は失業手当をもらいながら、帳簿外で働いているのではないか。
我々が本当の失業者数を得られていると思えない。
・そのうえ、通常、平均的な人間は350~400ドル失業手当をもらえるところ、今は約1000ドルもらえる。
まったく違ったシナリオになる。
うまく説明責任を果せていない。
・もともとの計画は良かったのだと思う。
もう少しうまく実施できたかも知れない。
現実は、いたるところで企業がシャットダウンし、誰かが何かしなければならなかった。
最大4か月、今のシステムがうまく働くようにできるか考える時間がある。
私は、人が賃金を求めて職に戻って欲しい。むしろインフラ投資に回した方が良いと思う。何か生産的な要素に使うべきだ。
一方、小売り売上の数字を見ると、「ああ、人々が失業しているのだから、小売り売上が下がったのね」などとと思うだろう。
実際は、むしろ、政府から金をもらっても、[店が閉まっていて]使えない状況にあるのではないか。
ジョブ・マーケットと小売り売上データから、過大な負のシグナルが出ている。
我々は、今後数か月出てくるデータに驚く事になるだろう。ジョブのデータと比較して[良いデータが出てくる]。
・今は財政側にフォーカスしたい。
私の計算では、100個ある職のうち、30がシャットダウンによって失われた。
経済再開で15~20の職が戻るだろう。
まだ穴がある。
その穴はインフラ再建とサプライチェーン回帰によって埋めるべきと思う。
医療、軍事関係のサプライチェーンは米国に戻るべきだ。
先週ワシントン・ポストに興味深い記事が載った。サプライチェーンをうまく管理している企業は、株価が高い傾向にあるそうだ。
ESGが進化すると、サプライチェーンにも目が及ぶだろう。
それが、残りの10~15の職を埋める。
その方が、人々を働かないように金を払うより、よっぽど良いだろう。
・過去数か月のデータを見て最も意気消沈するのは、コロナの半分以上の死者が老人ホーム(nursing home)である事だ。
悲劇的だし、いくつもの理由があるだろう。
しかし、老人ホームの死者を除けば、状況はマシに見える。
老人ホームは既にある程度隔離されている。
なので、経済再開できるはずだ。
併存疾病要素、年齢を考慮に入れれば、気が滅入る話ではあるが、経済は再開すべきだし、ウィルスのリスクが低い人には活動を許すべきだ。
主要メディアは、現実のデータが表しているものより、1、2週間前のストーリーをまだ信じているのではないか。
私は、シャットダウンが遅すぎたと思ったし、もっとシャットダウンを徹底すべきと思っていた人間だ。
そして、まだマスクをつけていたいと思うし、ソーシャルディスタンスを守るべきだとも思っている。
なので、完全回復するとは思わないが、もっとアグレッシブに経済再開ができると思っている。そうすれば経済は良くなる、早く回復するだろう。
それができれば、V字回復だってあり得る。
前半の失業手当の辺りが分かりづらいネ。
トランプ政権+議会は、CARES ACTと呼ばれる法案を作り、
・店を閉めた中小企業に対して、労働者を雇用し続ければ、政府が賃金を補填する。さらにその賃金分に加え、20%だか、25%のexpenseがもらえる。
・(それでも解雇されてしまう労働者がいると想定して)失業手当の増額。
・通常失業手当のでないフリーランスにも失業手当を与える。
とした。
この制度を悪用しようと思うと、ある企業は店を閉め、従業員を全員解雇する。
解雇された従業員は、いつもより多い(そして大抵はその店でもらう通常の賃金より多い)失業手当がもらえて満足。
その店はさらに家族や友達を(ニセの)従業員として雇い、雇用し続けているように見せかけ、政府から金をもらう。家族や友達は何もしないで給料がもらえてラッキー。
その店は、家族・友達から感謝された上に、政府からもらえるexpenseを懐に仕舞える。
そんな裏技が考えられるんだってサ。
細かい所が若干違うけれど、詳しくはこちら:
ここにはサブプライムローンの時の話も出てくる。
その時代Wall Streetの人達は、市民は金が無くなったら、クレジットカード、自動車ローン、家のローンの順番で支払いを止めて行くだろうと考えていたそうだ。
家を取られるのが一番困りそうだから。
そこでWall Streetは、クレジットカードのデフォルトを炭鉱のカナリアとしてwatchしていたそうだ。
クレジットカードのデフォルト率が変わらないから、サブプライムはまだ大丈夫、まだ大丈夫って。
そうしたら、最初に家のローンから焦げ付き始めて、ビックリしたそうだ。
(Wall Streetの住人でない)普通の人々にとっては、家が取られても別に行く所があるし、どうせいつか払えなくなる家のローンを払い続けるよりも、日々の食費に使うクレジットカードを守りたかったんだってさ。
オモシロイネ!