塾長です。
昨日(米国4/12)の米株市場は、ヨコ。
S&P500、4,127(-0.02%)
Nasdaq、13,850(-0.36%)
Russell2000、2,233(-0.43%)
【米国市況】株が反落、決算シーズン控え-国債利回りは小幅上昇 - Bloomberg
債券、為替、コモ:
10年債、1.6750
ドル円、109.4010
Bitcoin、59,987
ビットコイン、過去最高値に迫る-米最大の交換業者が14日上場 - Bloomberg
重要経済指標はなし。
さてさて、今何かと話題の半導体不足。
バイデン政権が企業トップを集めて「俺は仕事してるぞ」アピールなんかしてますが、「どうせ、うまく行かないよ」と静観していました。
ただ、補助金が入るようなので、投資家としては注目しておかなければならないですね。
いくつか関連するレポートや、アナリストの解説を紹介しておきましょう。
バイデン政権が半導体をインフラストラクチャーだとして、経済刺激策(infrastructure plan)に盛り込む方針だとCNBCがレポート:
ポイントは、
・半導体製造支援については、両党からサポートを受けている。
・議論は、infrastructure planの一部に入れるかどうか。
・$50B(≒5.5兆円)の予算。
・半導体支援の行先(目指すところ)は、19の工場建設、7万人の新規雇用、24%市場占有率。
・他国で行われているような、補助金、税額控除、といったことが議論されている。
Susquehanna Financial Groupの半導体アナリスト、クリストファー・ローランドの解説:
ー(インテルCEO)ゲルシンガーが米国の半導体シェアを3割にすると言った。
・それは野心的だ。私は30%シェアを取れるとは思っていない。多分、20%くらい、$50Bの政府支援があったとして。30%かそれ以上というのは、とてつもなく難しい。
ー2つ質問がある。1つは、$50Bは半導体製造装置メーカーを助けるか?2つは、$50Bは十分か?
・最初の質問の答えはYes。しかし、多くの半導体装置メーカーははバックログを持っている。ひとたび需要と供給が均衡すれば、新しい注文に応じられるだろう。
2番目の質問に関しては、$50Bというのは予想より大きい数字。$50Bは、公に取引されている半導体企業の大きさと同じくらい。我々としては、半導体製造工場にまわるのは$100Mから、せいぜい$200Mだろうと予想している。それだけでも、超巨額な資本投資と言える。
ーだとしたら、なぜnVidiaのニュースに反応して、他のメーカーが下げたのか?
・週の始めだったのと、補助金がくるのは織り込み済みだった。nVidiaの参入で直接影響を受けるIntelは特に下げた。
ー半導体セクターでお勧めは?それとも、待つべき?
・政府補助金の実現には疑問符がついている。ただ、方向性は正しい。供給問題もあって、我々は半導体に中立ななか、2つ良い会社がある。
Lumentum(LITE)。光通信とApple IPHONEのface idの会社。LiDARにこれから、もしくは既に参入。
nVidia。Intelからシェアを取るだろう。PCだけでなく、サーバーでも。
nVIDIAがスパコン向けCPU/GPUを発表したことについて、Jefferiesのジャレッド・ワイズフェルドが解説:
ーなんでこのニッチな領域(スパコン)が重要なのか?
・これはnVIDIAが今後5年から15年先、フォーカスする領域を示しているからだ。ARMを買収する。データセンター向けはリスクがあると知っている。ARMを買収する事でクリティカルな技術にアクセスできるようになるが、買収する前からイノベーションを起こせると示したいのだ。(新しいチップは)10倍のパフォーマンスと言っている。それは意味のある向上だ。ニッチ市場から始める。スパコン、AIといった所。より大きな市場(データセンター)に入る前に、信用を作る。理にかなっている。Amazon、Media Tech、Marvelとのパートナリングも理にかなっている。規制当局から許可を得るため、多くのフレンドを作っておく。これは、長期のデータセンターでの構造的成長と、ARMを使ってどのように市場を攻略しようとしているかを示しているのだ。
ーARM買収をさらに複雑にしたりしないのか?
・ARMのエコシステムに入っているのであれば、喜ぶべき話だ。大きなハードルは中国。数週間前、Applied MaterialのKokusai買収は拒否された。
ー半導体製造装置は?
・Applied Materials、KLA-Tencorなどの半導体製造装置メーカーは、非常によい位置にいる。半導体供給不足。今日ホワイトハウスで車、半導体企業との会談があった。少なくとも今後6~9か月、供給不足は続く。景気循環的に良い位置にいる。興味深いのは、構造的な観点。AI、HPCは巨大な半導体を使う。半導体製造装置の強度は増すばかり。長期的で、構造的な追い風が吹いている。
ー半導体製造装置の方が、半導体メーカーよりも上振れ余地があるのか?
・半導体製造装置はスイートスポットにいる。経済循環だけではない。先週行われたApplied Materialsのアナリストミーティングでは、今後数年でウエハー工場に$85B投資すると言っていた。中国、欧州が半導体製造の製造能力を増強している。
(このあと、Microsoftの話に移るので割愛)
Gartnerの調査によると、第1四半期(2021年1~3月期)、世界のPC出荷台数は32%伸びたそうです。
さて、ざっくりまとめると・・・、
・半導体需要は伸びる
・半導体供給増強には時間がかかる(数か月から数年)
・まず半導体製造装置メーカーの業績が伸びて、その後、半導体メーカーの業績が伸びる
・半導体は、サプライチェーンの問題から、安全保障の問題に格上げされた。米中の対立点でもある。
・米国は製造の国内回帰を目論む(設計は既に押さえている)。製造規模2倍程度にはなりそう。3倍は無理。
Applied Materialsって、半導体不況のとき、ソーラーパネル製造装置に活路を見出そうとしていたよネ(それほど苦しかった)。
それがここまで回復、注目を浴びるようになるとは。
将来を読む(=投資活動)のは難しい。
この瞬間だけを見ると、半導体製造を分社化してしまう東芝、半導体製造装置事業を売っちゃう日立は、何やってんの?という感じに見える。
一方、今はイケイケでカネが流入しているが、一旦供給過多になると、業績が落ちて、株価ガタガタになるんだろうなぁ、とも思う。