塾長の資産運用

アメリカ株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

ジャクソンホール後のパウエル発言。

塾長です。

昨日(8/27)の米株市場は、ジャクソンホール後のパウエル発言を受けて、跳躍。

 S&P500、4,509(+0.88%)

 Nasdaq、15,129(+1.23%)

【米国市況】株は最高値、パウエル氏の講演でテーパリング不安和らぐ - Bloomberg

 

 

債券、為替、コモ:

 原油、68.68

 10年債、1.3120

 ドル円、109.8100

 Bitcoin、48,993

 

経済指標:

 7月 個人消費支出(PCEデフレータ)[前年同月比]、4.2%(予想4.1%)

 7月 個人消費支出(PCEコア・デフレータ、食品・エネ除く)[前月比]、0.3%(0.3%)

 同[前年同月比]、3.6%(3.6%)

 7月 個人消費支出(PCE)[前月比]、0.3%(0.3%)

 7月 個人所得[前月比]、1.1%(0.2%)

 8月 ミシガン大学消費者態度指数・確報値、70.3(予想70.7)

米個人消費支出、7月は伸びが鈍化-物価指数は高水準を維持 - Bloomberg

8月米消費者マインド、確定値も低水準-前月からは「大きく悪化」 - Bloomberg

 

 

仮想通貨、NFT:

野村、トークン利用の会員制サービス開始-新たな食の販売へ (訂正) - Bloomberg

 

 

金融政策:

パウエル議長、テーパリングを年内に開始し得る-利上げは急がず - Bloomberg

クラリダFRB副議長、年内のテーパリングを支持-米金融当局者発言 - Bloomberg

 

パウエル発言全体はこちら:

www.youtube.com

ポイントは、ほぼ全ての時間を使って、学校の授業のように素人にも分かるよう易しく、途中にグラフを交えながら、なぜここ数か月の高インフレを一時的であると考えているのか、なぜ(2%インフレ率を達成するために)金融緩和が必要なのか、を解説している点。

 

長くなりますが、こんな事を言っています:

・ジョブの回復は平等でない。その理由は、自動車、家電、家具といった耐久財への消費は戻ったが、レストランや旅行といったサービス消費が回復していないからである(Figure 1)。

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Figure 1. Spending on Durable Goods and Services

・就業者数は2020年2月に比べて、いまだ6百万人少ない。そのうち5百万人がサービスセクターである。

・直近では労働市場は大きく改善を見せているものの(Figure 2、左)、いまだ失業率は5.4%と、まだ高い(Figure 2、左)。

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Figure 2. Labor Market

・急激な経済再開が高インフレを招いた。7月PCE総合、PCEコアは4.2%、3.6%であり、目標である2%を大きく超えている。これは心配(concern)である。

 これら高インフレは一時的であると思われる理由がある。高インフレに寄与しているのは、直接的にパンデミックと経済再開に関わる少数のグループである。耐久財、エネルギー。過去の長い経験から、これらは一時的である。ホテル料金、飛行機チケットは去年大きく下落して、それが以前の水準まで戻っただけだが、12か月と期間を区切って価格差を計算しているので、それがインフレに寄与した。

・特定の物価が広く波及するかを見るために様々な方法を取っている。その一つがtrimmed mean measures(訳注:Dallas Fedが計算している外れ値を除いたインフレ率)である。パンデミック前(18か月前)と比較した耐久財を除くトリム平均PCEインフレ率は、ほぼ2%である(Figure 3)。インフレが広く広がった時に、我々は心配する(≒今は心配しない)。

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Figure 3. Measures of Broad-Based Inflation

・中古車などの一時的に上昇した価格は、多くのアナリストも予想するように、下がるだろう。それが近い将来のインフレ率を押し下げる。

パンデミック前の25年間、耐久財の価格は1.9%の割合で下落してきた(Figure 5)。

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Figure 5. Durable Goods and Services Inflation

・自動車を除けば、耐久財の価格上昇は遅くなっているし、ものによっては下がり始めた。耐久財の価格が高インフレを招く可能性は少ない。

・賃金上昇が2%ゴールと整合しているかも見ている。賃金が上昇するのは良い事だが、生産性向上や物価上昇を恒常的に上回り、物価スパイラル上に押し上げているようになれば心配だ。しかし、その証拠はない。Employment Cost Index、Atlanta FEDによるWage Trachkerは、我々の目標と一貫性が取れている(Figure 6)

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Figure 6. Overall Wage Growth

・為政者(policymakers)やアナリストは、一般的に、長期的インフレ期待が固定されているのであれば、一時的なインフレを見過ごせるし、見過ごすべきだと信じている。

・長期的インフレ期待は、我々の目標と一貫性がある。個々の値はノイズが大きいので、一般的パターンにフォーカスする。そのパターンを要約するために取る手段の一つが、the borad staff's index of common inflation expectationsである。これは多くの調査や市場指標を統合したものである。2014年から期待値は低下している。直近、それがようやく反転し、我々の目標と一貫性を持つようになった。インフレ期待値は、実際のインフレ率より低い。これは一般家庭、企業が今のインフレが一時的であると信じている証拠である。

・最後に、1990年代から多くの先進国でインフレ率が2%を下回っている事を指摘しておく(Figure 7)。経済状況が良い時にもだ。技術の進歩、グローバル化、人口動態といった継続的なディスインフレ要因を反映しているのだ。中央銀行による物価安定へのコミットが成功したとも言える。

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Figure 7. Inflation in Advance Economies

・この傾向が急に反転したり、和らぐとは思えない。パンデミック後もこの傾向が続くと思う方が自然だろう。

・1950年代から80年代にかけて、重要な教訓を2つ得た。1950年代初頭の政策では、一時的インフレに対して政策をオフセットしなかった。インフレに対する金融政策は1年もしくはそれ以上の期間を経てから効果を表す。一時的なインフレに対応して金融引締めを行えば、その効果が表れるのは必要性が無くなった時である。今そのような失敗を犯すべきではない。

 インフレが常に一時的とは言えない。1970年代、2回のエネルギーと食品の大幅物価上昇があった。消費者物価(headline inflation)が上昇した。しかし、消費者物価に直接影響する価格が緩くなった後も、コアインフレ率は高いままだった。一つの理由は、大衆のインフレ期待が高かったからだ。それゆえ、我々はインフレ期待を注意深く見守っている。中央銀行はインフレが一時的なものかどうか見極めるのに苦労する。そんなとき、注意深くデータを見て、リスク評価するのが最良である。もしインフレが継続するようであれば、FOMCはツールを使って反応し、目標のレベルに戻るのを確実にする。

・金融政策を結論付けると次のようになる。FOMCは確固たる信念をもって経済が完全回復するまでサポートを継続する。昨年導入した金融政策のフレームワークを維持する。「最大雇用と物価安定のゴールが達成に向け、さらなる大きな進歩があるまで、資産買取を継続する」と言ってきた。私の見立てでは、その進歩が見られた。私は、7月FOMCにて、資産買入を今年中に減らそうと言った中の一人であった。それ以来、雇用統計の数字は良かった。一方、デルタ変異種が広がってもいる。我々の資産買入が終わった後でも、長期債の保持が緩和的金融環境を引き続きサポートするだろう。

 資産買入縮小と、利上げはまったく別の話である。さらに厳しい試験を通過する必要がある。最大雇用と物価上昇2%を上回るまで、まだ先は長い。

・最後にポジティブな言葉で締めたい。パンデミック前、活況な労働市場が社会に良い効果をもたらしていた。今、多くのチャレンジがあるが、経済は回復に向かっている。最大雇用、最大労働参加率、広い範囲の賃金上昇、物価目標に向かっている。

 

 

なんでこんなに長々と説明したのか考えると、多分、近視眼的・日和見主義・大衆迎合的政治家や、話題作りのために発言するアナリストや学者からの「高インフレが来るぞ!」「こんな高インフレじゃ生活者はやってられん!」的批判への対応(反論)だと思われます。

今後「俺は高インフレが来ると思う」というアナリスト、学者は、根拠を示してから主張するように。

 

最後はポジティブな言葉で締めようと思いマス。パウエルさん、ありがとう。あなたのおかげで今日も資産が増えました。