塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

【ジェフリー・ガンドラック】Johnny 7

塾長です。

今月も債券王ジェフリー・ガンドラックがマクロ経済を解説してくれてますよ。

プレゼン資料タイトルには9月14日と書いてある。動画がアップされたのは9/23。

50分もあるので、要約というか、目次+αのご紹介。気になる部分があれば、そこに直接飛べるように:

www.youtube.com

・「Johnny Seven」(0:00)

 1964年発売。7つの武器が仕込まれた銃。パンデミック以来、FEDが繰り出している武器のようだ。今や、コレクターズアイテムになっている。

・U.S. Nominal GDP(3:29)

 名目GPDはパンデミック前を超えた。増えた分は、政府の追加支出にほぼ等しい。

・COVID-19 Fiscal Stimulus as % of GDP Comparison(4:37)

 Y軸が国名、横軸が経済刺激策の大きさをGDPとの比率で表したグラフ。1位日本、2位ドイツ、3位イタリア、4位米国の26%。

・Change in U.S. Public Debt Outstanding: Pandemic vs. GFC (%GDP)(5:39)

 赤のラインがパンデミックからの公的債務、GDP比でY軸。青のラインが世界金融危機。X軸がそれぞれの危機によって引き起こされた景気後退からの時間、単位は週。世界金融危機で負った借金を、パンデミックは20週間で超えた。4倍の速さで債務を増やしたことになる。

・Change in FED Balance Sheet: Pandemic vs. GFC(6:41)

 公的債務の増加は、FEDのバランスシート増加によるもの。テーパリングを始めるというが、終わるまでは増加するということ。

・Real Fed Funds Rate(8:23)

 FEDは資産買い入れだけでなく金利も変えた。グラフは、FED Funds RateからCPIを減じたもの。9月発表のデータは含まれていない。8月発表CPIを使うと実質レートは-5.16となる。前回これほどの実質マイナス金利になったのは70年代、80年代初頭の高インフレ時。

Fed Funds Shadow Rate and Fed Balance Sheet(9:57)

 Altanta FEDのアナリストが作ったFF Shadow Rateのグラフ。FED資産買い入れを考慮したときのFF Rate。今はー1.8。2014年よりはマイナスが大きくないというのは興味深い。

・Real Fed Funds Shadow Rate(11:02)

 FF Shadow RateからCPI総合を減じたものをReal Fed Funds Shadow Rateとして、グラフ化。-7.25となる。

・Total Number of Employees (Nonfirm) (11:36)

 非農業部門の被雇用者数のグラフ。パンデミック前より530万人少ない被雇用者で、GDPを$3T増加させたことになる。

・90+ Day Mortgate Delinquency vs. Foreclosure(12:52)

 住宅ローン滞納と差押え。赤が滞納。青が差押え。今は支払い猶予によって差押えの数は少ないが、これから増加して、経済に影響を及ぼすだろう。政府は虎のシッポを掴んでいる。

・ISM Manufacturing Customer Inventories

 消費者向け指標品の企業在庫は通常の半分。インフレが収まる様子ではない。

・Consumer Expectations Less Present Situation(14:56)

 リセッションの先行指標となる消費者信頼感、期待と現在。

・NFIB Jobs Hard to Fill and Worker Compensation Plans(16:46)

 労働者を見つけるのは難しい。労働者への支払いは増えている。パンデミック前を超えている。

・Wage Tracker by Age(17:30)

 年齢グループごとの賃金。最も重要な22-54歳のグループでは増加していない。55歳以上は減っている。大きく増えているのは16-24歳。レストラン、最低賃金で働く人の賃金だけが上がっている事を示しているのではないか。今後22-54歳グループに波及するか見ていく必要がある。

・Global Manufacturing Supplier's Delivery Times(18:42)

 国際的な製造業における部品供給時間が増加している。過去20年以上で最悪(最長)。

・Supply Chains are a Mess , So Why is Trade Booming?(19:09)

 なぜ供給が滞っているのに、貿易はブームになっているのだろうか。グラフは貿易額。18、19年を大きく上回っている。

・Johnson Redbook Index U.S. Same Store Sales(19:33)

 それは消費者に関わっている。名目GDPは輸入と消費によって増加した。グラフは、同店舗売上比率、前年同週比。爆発的に増加している。

・South Korea Exports (YoY)(20:14)

 韓国は輸出に依存した国であり、その増減を見ると良い。グラフは、毎月の前年度比。非常に大きい伸び。米国の経済成長は、経済成長というより、輸入して消費しているだけ。得をしているのは貿易相手国。

・U.S. Trade Balance (Inverted)(20:39)

 貿易赤字が増加している。伸びが大きい。GDPの約1.5%。貿易赤字と予算の赤字はドルの価値を下げるだろう。Double Lineは6、7か月前まではドルに強気。今はニュートラル。

・Baltic Exchange Dry (BDI) Index(22:15)

 BDIは海上輸送コストを示す。それが上昇している。07年ほどではないが。

・Shanghai Shipping Containerized Freight Rate (Exports)(22:43)

 これは別の開運輸送コストの指標。パンデミック前が700~800。今は4,500。米国の輸入が多すぎて、アジアから荷物を入れて運んできたコンテナを空で送り返しているからだ。

・Homes Listed Available for Sale(23:29)

 経済刺激策による放火によって破壊されたのが住宅市場だ。1985年からの統計上、今が最も売りに出ている住宅の件数が少ない。

・Case Shiller Home Price Index (YoY)(24:08)

 住宅価格が上がっている。フェニックスの住宅価格中央値は前年比45%上昇した。ケース・シラー指数の中央値は19%上昇した。直近20年間で最高。世界金融危機の前よりも高いということだ。

・Existing Home Sales Median Price (YoY) Change(24:47)

 中古住宅も同じように上昇。前年比約18%上昇。

・Affordability: Monthly Payment as % of Income(25:06)

 驚くべきことに、住宅取得能力は悪くない。最近の中では悪いと言えるが、世界金融危機のときよりはマシ。2018年と同程度。2018年が悪かったのは、金利上昇による。10年債は10%の頃だ。金利上昇はリスクである。なので、FEDイールドカーブコントロール、すなわち、長期金利の操作をしているのだろう。30年債が2%に近づくと、落ちてくる。短期的には、2%に近づいた30年債を買って、下がってきたところを売るのは良い戦略かもしれない。

・Renter Stampede(殺到)(27:39)

 賃貸住宅を借りる人が増えている。グラフは四半期ごとのデータ。1993年からのデータで、最も多い。インフレのデータが抑えられているのは、住宅価格を使っているのではなく、owners' equivalent rent(OER)を使っているからだ。モラトリアムが終了すれば、多くの立ち退きが実施されるだろう。その一方で、家賃が上がるだろう。

・Apartment List: Vacancy and Nationwide Median Rent(29:05)

 グラフはアパートの空室率と、家賃。空室率は2020年から右肩下がり。家賃は21年に入ってから右肩上がり。政府はOERが年率2、3%上昇すると見積もっているようだが、このApartment Listのグラフからはもっと上がるように見える。

・Apartment List: Rents Are Rising Quickly, Everywhere(30:15)

 米国の大きな100都市を縦軸、年を横軸にとり、家賃下落した都市を青、上昇した都市を赤で示したヒートマップ。今年に入ってマップは真っ赤。家賃下落した都市は無いようだ。

・Rising Home Prices Could Boost Rent Inflation(30:50)

 (OERを使った)CPIと、OERを実際の住宅価格に置き換えて計算したCPIをグラフ化。CPIは5.3から12.0%となる。住宅ローンで家を買っている人にとっての金利は、マイナス10%だ。

・U.S. Headline and Core PCE (YoY) (31:22)

 これはCPIではなく、FEDがより注目するPCE。

・U.S. PPI (MoM) and (YoY)(32:02)

 PPIは8.3%程度。緑の縦棒は前月比。2020年半ばから毎月0.8%上昇。PPIはCPIの先行指標。これからもCPIが下がるとは思えない。我々は2021年CPIが5%前後ではないかと予想している。

・Significant Increase of "Inflation" Mentions in Earning Calls(33:50)

 企業の決算会見においてCFOがインフレについてたびたび言及している。Supply Chain、Priceについても同様。

・Inflation(34:26)

 しかしながら、インフレがニュースで取り上げられる回数は減っている。

・U.S. Breakevens(35:02)

 債券市場はインフレが一時的であるとの物語をサポートしている。イールドカーブこのトロールによって歪められている可能性はあるが、債券は5年、10年、30年ともにインフレ2%台だと示している。FEDがTIPSをたくさん買っているからかも知れない。少なくとも一部はそれで説明がつく。

Bloomberg Commodity Index(35:59)

 コモディティーは強い。相対グラフ。急激に上昇。ドルが強くなってもその傾向は変わらない。我々は過去数か月、コモディティに中立。ドルに強気だったので。ドルが下がれば、我々はコモディティに強気に戻る。

・Gold Spot(37:16)

 ゴールドは過去1.5年間下がってきた。ドルが下がれば、ゴールドに強気になる。ドルが下がるのは確信がある。

・Gold vs. 10-Year TIPS (Inverted)(37:48)

 ゴールドと10年TIPSには逆相関がある。その関係性の中で、ゴールドは安い。ゴールドが安いと見ることもできるが、FEDに歪められているからだろう。

・5-Year Treasury Yield(38:30)

 5年債金利は非常に狭い範囲で動いている。これもFEDの活動によるものだろう。

・10-Year Treasury Yield(39:03)

 10年債の値動きは5年債より激しい。

・Copper/Gold Ratio vs. 10-Year UST Yield(39:41)

 銅とゴールド価格の比と、10年債金利は相関があるが、パンデミック以降乖離が見られる。銅/ゴールド価格比は、10年債利回りが3%であるべきだと言っている。

・U.S. Rates: 30-Year UST Yield(40:12)

 1990年以来、30年金利は下がり続けている。

・U.S. Yeild Curves: UST 2s10s, 2s30s, 5s30s, 10s30s and 3m10s Spread(40:58)

 異なる期限間の金利差。3年と10年債の金利差、赤線、に注目すると、2020年初めにスティープ化し、2021年3月までその傾向が続いた。その後、イールドカーブコントロールにより金利差が縮まった。

・10-Year UST Yield and FX Hedged Into EUR and JPY (41:42)

 このグラフが、欧州と日本にとって、米国債がどれくらい魅力的かを示している。オレンジの線が日本円でヘッジしたときの金利。日本の金利はほぼゼロなので、1.05%は魅力的だ。欧州/ユーロにとっては米10年債金利は0.66%であり、ドイツのそれは0.62だったと思う。これが長期債の需要の原因だろう。

・S&P500/ MSCI Europe (3 Years)(43:20)

 DoubleLineとしては初めて欧州株に魅力を感じるようになった。しかし、うまく行っていない。青い線が上にあるほど米国株の方が良いことになる。パンデミック以来、ほぼ同程度で推移。しかし、ここ10年、15年で見ると、米国株が欧州株を常にアウトパフォームしていた状況とは違うのがわかる。これもドルが下がれば、欧州株のパフォーマンスが良くなる。

・Emerging Markets & DXY(44:33)

 グラフの上側が新興国市場のトレンドで、2021年は下がり基調。下側がDXY Indexで、一定幅の中で微妙に上昇。ドルの価値と新興国市場にも強い関連性がある。

・Dollar Index(45:42)

 88の辺りにサポートラインがあり、今は92.5。

・Valuation vs. Growth Forward P/E(45:57)

 バリュー株とグロース株のフォワードP/Eの比較。その間には大きなギャップがある。一部では転換の動きもみられるが、このグラフには反映できていない

・U.S. Corporate Credit Total Returns by Rating YTD(46:43)

 米国社債のトータルリターン。今年に入ってから今日まで。投資適格社債はほとんどリターンを出していないが、ハイイールド債のリターンは良い。

・U.S. Corporate Investments Grade Opitions Adjusted Spreds(48:43)

・U.S. Corporate High Yield Options Adjusted Spreds(49:22)

・CLO Prices by Original Rating (Palmer Square Index)(49:47)

 CLOはパンデミック前まで戻した。キン色で示したBBでさえ戻した。

・Non-Agency CMBS Price by Rating(50:19)

 CMBSには少しの機能不全(distress)が見られる。まだ高い評価のCMBSはパンデミック前までの戻り切っていない。

 

 

 

ふぅ。長かった・・・。