塾長の資産運用

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【ジェフリー・ガンドラック】FEDは過度な金融引締め→量的緩和の連鎖を抜け出せ(願望)。

塾長です。

7月27日、FOMC終了後、債券王ジェフリー・ガンドラックがCNBCに出演したので、その内容をご紹介(まとめ、データ、ほぼ全訳);

www.youtube.com

まずは個人的なまとめ:

  • FEDタカ派から転換した。FFレートは(市場が織り込んでいる3.5%弱ではなく)2年債が示している3%で打ち止めとなる。それは株、債券高を示唆する。
  • その前提は、CPIの連続的低下。今年中に5、6%台?
  • QTが本格化するので、ボラは高くなる。ストレートには上昇しない。
  • 量的緩和(money printing)は金融市場だけでなく、社会的・政治的問題を引き起こすので、二度とやらないためにも、金融引締め過ぎ→経済急減速/厳しいリセッション入り→量的緩和、の連鎖を断ち切って欲しい(願望)。マイルドなリセッションが望ましい。
  • FEDタカ派姿勢から転換したと言う前提において、中庸なリスクのある債権に機会がある。DXYが105を切ったら、新興国市場を検討すべき。

FEDタカ派から中立気味に転換したというのは、事実というより、彼の願望が入ってる感じはしますネ。

そして、その前提となるインフレ率/CPIですが、彼は今後連続的に下がるだろうと予測している。しかし、5月(6月だったかも)のCPIが出た時に、ピークを付けたと(間違って)予測をしていたので、彼の予想が当たるとは限らない。例えば、8月、9月と、インフレ率が7~8%台であれば、FEDタカ派にならざるを得ないでしょう。そうなれば、債券も株も売られるはず。

CPIとDXYが重要なので、その辺りのデータを貼っておきます。

一番気になるのは過去2年で40%上昇した住宅価格だが、CPIへの反映がtimelyに行われないということで、今後も(CPIの要素としては)上昇し続けるらしい。

次に大きな要素の自動車価格。中古車価格はどうかというと、高止まり:

Manheim Used Vehicle Value Index Mid-July 2022 - Manheim

消費者として高止まりは困るかも知れないが、今FEDが注目しているのはCPI(もしくはPCE)の月次変化。なので、横ばいなのは、FEDが中立的になる(積極的な利上げを控える)根拠にはなる。

 

ガソリン価格も一時よりは下がっている:

US Retail Gap Price 1Y July 25, 2022 - Ycharts

 

一方、7月のバケーションシーズン、航空機、ホテルの値段が大幅上昇したらしいので、油断はできない。

 

 

さて、DXYはこちら。この勢いで行けば105はすぐに下回りそうな感じがしますが?(為替はさっぱり分からない)

DXY 2022/8/1 - investing.com

 

 

 

最後にインタビューほぼ全訳:

パウエル会見は良かった。これまでで最高だったと言って良い。センチメントが変わった。株だけでなく、債券も好転した。6月のhigh yield bond market, merging marketは酷いものだった。それが、特に社債において大きく改善した。今後6ー12か月でみれば、一部の債券市場や、リスクの高い株において、好リターンが期待できる。

重要なのはforward guidanceを出さなかったことだ。これまでguidanceを誤ってきたために、FEDの信頼が失われた。「毎回のFOMCミーティングで(meeting by meeting)」と言っていたのが良かった。

今回の市場の上昇は、5月・6月のとは違うだろう。前回出演時「2%利上げして、打ち止めにしよう」と言った。パウエルが「利上げの影響は遅れて出てくる」と言ったように、3か月以内に2%弱利上げしたら、待つべきだ。次回FOMCまで8週間あるのは良い事だろう。

一つ人々が話していない大切な事は、貨幣の増加(量的緩和、money printing)がいかにインフレに寄与したか、だ。FEDは大きな経済減速を避けたいはずだ。経済減速が大きくなるほど、次の量的緩和は大きくなるのだ。今回パウエルから聞けて良かったのは、中立金利2.5%、債券市場がパスしている。私がこれまで行ってきたように、FEDは2年債金利に従うべきである。この6週間で、2年債は0.5%金利が下がり、FEDは1.5%金利を上げた。2%分の差が埋まった。これでFEDは出遅れていない(FED is no longer behind the curve)。FEDも市場もこれを理解していると思う。FEDの信頼が完全に回復したとは言えないが、上向いている。

長期的にみてvaluationは良い。Indexファンドに機会はない。CCC社債などは10%程度、securetized marketでは現実的な11,12%の利回り。もし中庸なリセッションになったとしても、良い利回りだと思う。

今日パウエルはマイルドなリセッションを認めた。それは全ての金融市場にとって最適な結果だ。今年中に4%には戻らないだろう。来年2%台にもならないだろう。しかし、コモディティ価格は落ち着いており、連続的にCPIが下がっていくだろう。厳しい(sever)リセッションは避けられるのではないか。

5月FOMC直前と今の市場を比べると、ほぼ変わっていないのは興味深い。2%利上げをうまく受け止めた。現在、市場は1%弱の追加利上げを織り込んでいるが、そうならない事を望む。(FFレートは)3%になると思う。

前回出演した時、長期債(long end of the bond market)に機会があると言った。その通りになったが、今はそれほど魅力的ではない。値段が上がってしまったし、FEDがこれ以上大きな利上げをしなさそうだから。

市場はまだQTを織り込んでいないかも知れない。6月にバランスシートを縮小するはずだったが、進捗は予定よりとても遅い。これから本格化する。逆風になる。ボラを高くする。しかし、今の債券市場には10%、15%のリターンが見込める部分がある。

様々な可能性が考えられるが、FEDは今年末時点FレートをF3%にするだろう。CPIが連続的に下がれば。9月、11月のFOMCのどちらかで、利上げをしないで欲しい。既に上げた金利がどう作用するか、QTがどう作用するかを見極めて欲しい。(金利上昇は)終了に近づいている。イールドカーブはパンケーキのようにフラットだ。私が真の金利と呼ぶ2年債は3%を切った。イールドカーブの姿は3.5%だと言っているが、私はそこまで行くとは思っていない。

パウエルが「経済環境が悪くなったら利上げをやめるのか?」といった仮定の質問に答えなかったのは、正しいと思う。今までそれで失敗してきた。誰もこの経済減速がどのようなものになるか分からない。一部の経済は既に減速している。住宅市場など。消費者需要も減速するだろう。今は普通の経済では予測不可能な状態だ。量的緩和が2022年になってdislocationを引き起こしている。二度と量的緩和が解決策だと考えるべきではない。それが全ての問題の根源だ。私が問題と言っているは、社会的問題、インフレ、格差、政治の全てだ。カネを刷るのをやめなければならない。これから経済は悪くなるだろう。しかし、このままドアを開けておけば、政治家は経済刺激策を出し、インフレが再燃する。

私は経済の墜落(crash-landing)は避けられると思う。soft-ish landingがベストケースだ。パウエルが理解しているだろう。まだ市場にはdislocationがあるが、私は1年前より確信が持てている。

リスクを嫌う債券投資者には、credit marketの中央付近に機会がある。securitized credit もしくはhigh yield のBB、Bあたり。マイルドなリセッション下では、値段は上下するし損失も出るだろうが、クーポンを取るだけで10ー12%だ。今の金利差は、歴史的に言って、元本を棄損するレベルにない。ライフルで正確に狙い撃つのは難しいかも知れないが、high yield market、bank loan marketの中で、そこそこリスクのあるファンドが良いだろう。まずは年初来12%下げているファンドを探してみてはどうか。良いスタートになると思う(笑)。income funds, premium income fundsを見てみれば、大きく下げて、安定化しているのが分かるだろう。それらは、FEDが今のアプローチをとるなら、ベネフィットを受ける。

emerging marketはまだ買っていない。我々はemerging bondをアンダーウェイトしている。emerging stockは酷い落ち込みようだ。私は落ちるナイフを掴みたくない。バリュエーションの観点では、良い。しかし、(それらを買うには)ドルが下がる必要がある。投資家へのアドバイスは、DXY Indexが105になるかを見ておくこと。105を下回れば、emerging marketを検討すべき。

 

 

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