塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

ロシアがウクライナ侵攻したら、米国株はどれくらい下がる?

塾長です。

ロシアがウクライナ侵攻の準備を進め、NATOが対抗措置を検討中ですが、戦争になったら株はどうなるのでしょう?プロの市場参加者はどう見ているの?気になりますよね。

Charles Schwab ジェフリー・クレイントップがそんな疑問に答えてくれていたので、早速聞いてみましょう。(Allspringの人も出ているけれど、そこは省略)

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ー今朝、主要指数は全て下げている。S&P500は2%も下げている。ジェフリーに聞きたい。この痛みはさらに激しくなるのか?3つの要素があるでしょう。企業収益、FED地政学リスク。ボトムを指し示すようなシグナルはありますか?

・決算は非常に重要だ。それとともに、12月から多くの経済データが出ている、今朝のPMIなど。それらはオミクロン変異種によってサービスがネガティブな影響を受けていると示している。OpenTable(レストラン予約サイト)の予約数なども。サービスは急激に後退している。もちろん、ロシアのウクライナ侵攻の可能性もある。そしてFEDの金融引締めサイクルの始まりだ。

 しかし、少し焦点を外してみれば、Q2の好決算が期待できるだろう。欧州がオミクロン変異種からリバウンドする。繰り延べられた需要、貯蓄、財政刺激策、在庫の再充填によって。

 ロシアとの紛争は、過去において、株式市場の継続的な売りにつながらなかった。

 このサゲ(dip)で株を買うべき理由がある。その時、欧州株を買う、割安株を買った方が良いかもしれない。過去には、金利上昇局面で有利だった。

ウクライナ情勢はリスクが積みあがっているように思う。株式市場は、この種のリスクを考慮しない傾向にあるようだ。しかし、このネガティブなセンチメントに混乱を加えることにはならないか?

・歴史的には、株式市場に大きなインパクトはない。石油や天然ガスには影響が出ているが。リチウムや他のコモティディーにも。ロシアの株式市場は石油価格と離反(disconnect)している。通常、ロシア株と、石油価格は同じチャートを描くのに。ロシア株が大きく下げているのだ(石油価格が上昇しているにもかかわらず)。しかし、ロシア株は新興国株の3%でしかない。大きな影響はない。2014年を振り返れば、ロシアがウクライナに侵攻したとき、S%P500は1%以下しか値下がりしなかった。EM Index(新興国株価指数)も1%以下の値下がりだった。そして1,2週間で戻した。人的損害を見積もることはできないが、この種のイベントにおいて、市場の損害は非常に小さい傾向にある。

 そして、今ロシアは、安全保障上の心配に関して米国から書面による回答を待っている。確か、回答期限は30日だったと思う※1。今週、軍事的行動が起こることはないだろう。

 

なるほど、1%以下しか下落しなかったのですか・・・。

それでは、その時の株価をチェックしてみましょう。クリミア危機は2014年2月中旬から3月末にかけての出来事。出典:2014年クリミア危機 - Wikipedia

2014年クリミア危機のタイムライン - Wikipedia

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S&P500, Euro Stoxx 50 in Annexation of Crimea - Yahoo Finance

上のチャート、水色の線がS&P500、赤がEuro Stoxx 50に連動したETFであるFEZ。Y軸の字が小さくて読みにくいですが、一番凹んでいるのが2月3日。ほぼ真ん中に位置するのが3月1日。

クリミア紛争はなかなか複雑で、どこを「ロシアが侵攻した日」として良いのか判断が難しい。ロシア議会がクリミアの平和維持のための軍隊派遣を認めた日(3月1日)とすれば、S&P500は2月28日終値1,856から3月1日終値1,845までに、0.6%下落。クレイントップの言っている事と整合性が取れる。

ちなみに、1月15日から2月3日にかけて5.6%下落していますが、理由はよく分かりませんでした。

 

しかし、2014年のクリミア危機と、今回の事案を比べて、「株式市場は大丈夫」と結論付けて良いものだろうか?という疑問は残る。

2014年のクリミア危機とは、当時のウクライナ親ロシア政権が倒れ、その混乱に乗じてクリミア半島にいるロシア系住民が独立とロシア編入を画策した、ある意味内戦。一応、ロシアが軍を派遣したのは、”治安維持・ロシア系住民保護”というお題目があった。プーチンは「僕が軍を派遣するのは、人助けのためだからね!」と言っていたわけです。

今回ロシアが問題視しているのは、ウクライナNATO加盟であり、ロシアが侵攻すれば、そのようなお題目はないし、ウクライナ全土の掌握となりそう。ウクライナ人がたくさん死ぬ。

なので、(全然見当が付かないので無理やり)10倍くらいの影響があると見積もれば、S&P500は6%下落してもおかしくない、くらいに考えておいた方が良さそうと思いました。

そこにNATO軍が介入して、とロシア軍が戦うとすれば・・・、いや、ウクライナNATOに加盟していないのだから、それは無いですよね?

そうだとしたら、なぜ準備しているんだ?って話ですけど:NATOが東欧増派、米8500人派兵準備 ウクライナ緊張高まる | ロイター

コワいコワい。

 

 

※1:21日の時点で”来週”と言っているので、回答締め切りは1月30日ではなく、29日(土)では?いずれにせよ、株式市場は閉まっているし、FOMCの方が先だという順序感に違いはありませんが。

米ロ外相、協議継続で一致 米は安全保障要求を来週回答へ | ロイター

U.S. and Russia agree to keep talking after meeting on Ukraine | Reuters