塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

Muddy Waters カーソン・ブロック、空売り投資を語る。

塾長です。

日本市場がお休みで、ヒマになったので、空売りヘッジファンドMuddy Watersを経営するカーソン・ブロック(Carson Block)のインタビューを紹介しておきます。
1時間以上あるので、個人的に面白かった2つのパート部分のみ。泣く泣く残りの7割はカットです。

www.youtube.com

[ブロックは中国で働いていた経験があり、様々な詐欺行為を目にした経験がある。またそれを告発して有名にもなった。その後も、いくつかの中国企業空売りして成功している。そこでなぜ中国企業に不正が横行するのか?聞かれての回答]

・中国は他の新興国と同じように詐欺、腐敗、窃盗が蔓延している。中国が独特なのは、2001年ドットコムバブルが弾けた時とほぼ同じ時期に中国がWTOに入った点だ。西側の銀行、コンサル、法律会社はM&Aや投資の仕事がなくなり、成長ストーリーを中国に見出した。そして詐欺、腐敗が横行する中国市場に、巨大な資本が流入したのだ。中国はそのカネを受け入れる準備が出来ていなかったのだ。

 多くの欧米人が中国に行って勘違いを起こす。上海でディナーを食べ、高層ビルを眺めて「中国人はこんなに速く高層ビルを建てられるなんてスゴイ!俺たちにはまったく出来ない」と言う。しかし、中国の高層ビルは糞みたいなもの。中国人は我々の基準を満たすようなビルを建てていない。これは中国企業の比喩として適切だと思う。それらキラキラする高層ビルの裏側を見ると、鉄の梁が入っていなかったり、コンクリートに砂が多く混ざり過ぎていたり、ガラスの品質が悪かったりする。しかし、遠目で見れば、その違いは分からない。

 共産主義国というのは社会的、モラル的に崩壊している。かつては全てが国有企業であり、企業と従業員の関係は家父長的であった。1980年代までは職場での見合い結婚が当たり前だった。そこに突然民間セクターが作り出されたのだが、順応できなかった。企業の中で盗みができる機会があれば、盗むのだ。

 文化的違いもある。西側では、少なくとも私が育った頃は、金持ちになるにしても、その方法が問題になる。悪事を働いて金持ちになってはいけない。中国においては、モラルが考慮されない。金持ちか、金持ちでないか、である。中国では、詐欺(scam)にあったら、あなたがバカだったと言われる。私が中国で6年暮らした経験から、詐欺にあわないための方法として言うのは「最大の防御は攻撃である(the best defence against getting scammed is a good offence)」である。道を歩いていて、店主と客が激しく口論しているのに良く出会う。それら、彼らが自分たちを守るために、攻撃しているのだ。非常に疲れる。これを西側の人達に説明すると、たいてい「それは疲弊するね」と返される。まったくその通りなのだ。

中国企業を、デキの悪い高層ビルに例えているのは、言い得て妙。但し、米国にもMillennium Towerという例外もある※1。

「中国では人に騙されないために、攻撃的になる必要があるので、疲れる」と言っているのは、なかなか笑える。日本人からすると、米国の暮らしは、まさにそんな感じ。ケーブルテレビが代表的であるが、約束は守られないし、どこにhiden feesが潜んでいるのか分からない。「お前もな!」と言い返したい。

 

 

[active short sellers(企業不正や不正確な情報を調査&公表することで短期的な空売りを狙う投資家)は市場から締め出されている、今後どうなると思うか?と問われての回答]

・初代iPhone発売とGlobal Financis Crisis、これらが関連するとは言わないが、同じ時期に起こった。人間が注意を向けられる時間が非常に短縮してしまった。ニュースルームの予算が大きく削減されてしまった。かつては調査をしっかり行う金融報道(investigative financial journalism)があった。今はほとんど残っていない。長期間調査して、それを報道するという事業が利益を生まなくなったからだ。その隙間を埋めようとするのは、active short sellingしか無いだろう。私は、investigative financial journalismがactive short sellingを行う事で、非伝統的な収入を得られると主張したい。それが唯一利益を得る方法だと言って良い。企業はどんどん大胆になってきて、(active short sellersに対して)訴訟を起こしてくるような環境においては、なおさらだ。

 今はactive short sellersに調査が入る時代である。誰かが表に出てきて「ここと、あそこのactive short sellersが怪しい」と言い出すと、私は困惑する(訳注:”buffled”は”黙らざるを得ない”と訳した方がここでは適切かも知れない)。この業界の一部の人間が悪い事をしているかも知れない。普通のlongとshortを組合わせている投資家の一部がインサイダー取引をやっているのと同じこと。しかし、active short sellersだけを顕微鏡で調べるような事が行われている。米国でだ。ドイツやフランスでもあった。しかし、米国でそんな事があってはならない。米国には世界最高の規制当局があるし、active shorl sellersが出すレポートには多くの調査が入り、間違いがあれば正されてきた。そして、合衆国憲法修正第一条(表現の自由報道の自由などを定めた条項)がある。これはinvestigative financial journalismの残滓に対する真の脅威である。もしこの業界が無くなれば、企業を調査し、不正を告発する者はいなくなるのだ。市場、この業界の未来は、見通せない。

1段落目で「active short sellingがinvestigative financial journalismの収入源になる」と言っている部分は興味深い。investigativeかどうかに関わらず、新聞・広告・テレビは広告を収入源としており、企業側に立った報道をしがち。その上、Internetに広告費を奪われている。証券会社や銀行にとっても企業はお客さん。「この会社は嘘を付いてます」などと、そう簡単に言えるものではない。ただ、ジャーナリズム側に期待するのではなく、Muddy Watersのようなactive short sellers側が(必要なら金融ジャーナリストを雇用して)情報を売るようになれば良いのでは?と思ったり・思わなかったり。 

 

2段落目は、多分、Muddy Watersが司法省から調査を受けている件に関連したコメントだと思います:
Carson Block's Muddy Waters among short sellers being probed by U.S. Justice Dept. | Reuters

詳細は報道されていないのだが、空売り投資家の中にSpoofing(約定の意思なく注文する行為、見せ玉)する者がいたみたい。

 

※1、サンフランシスコのミレニアム・タワーという高級マンションが徐々に傾いている:

www.youtube.com

 

 

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