塾長の資産運用

米国株大好きの塾長が資産運用と関連ニュースを語る。投資は自己責任でネ!

【ロバート・カプラン】リセッション入りしない代償は、高インフレ率と高金利。中国抜きのエネルギー転換は高くつく。

塾長です。

昨日(米国8/14)の米株は上昇。引き続き日銀(円)が攻撃されている。

 S&P500、4,489(+0.58%)

 Nasdaq、13,788(+1.05%)

【米国市況】ハイテク銘柄に買い、夏場の薄商い-ドルは145円台半ば - Bloomberg

14日の米株式相場は薄商いの中で上昇。ハイテク銘柄はこの2週間で最大の上げとなった。

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 この日は、中国発のニュースを受けて神経質な展開も見られた。不動産開発業者の碧桂園と、信託会社の中融国際信託を巡り懸念が広がっている。中融国際信託は資産運用会社大手である中植企業集団の傘下企業。

 

 

債券・為替・コモ:

 原油、82.36

 10年債、4.1840

 ドル円、145.5100

 Bitcoin、29,409

 

 

経済指標:

米消費者の短期インフレ見通しが低下、21年以来の低水準-NY連銀 - Bloomberg

 

 

金融政策:

米国、銀行に長期債発行の義務付け検討-資産総額1000億ドル以上対象 - Bloomberg

 

 

財政政策:

■イエレン、晩節を汚す;
イエレン米財務長官、インフレ抑制と健全な労働市場維持の道筋確信 - Bloomberg

イエレン長官は7月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.2%上昇と、40年ぶり高水準となった昨年6月の同9.1%上昇から鈍化したことを挙げ、バイデン大統領の経済政策によって米国民は1年前よりも状況が改善していると指摘した。

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 CNNの委託でSSRSが実施した7月の世論調査では、回答者の75%が経済状態について「幾分悪い」もしくは「非常に悪い」とし、政権の経済運営を前向きに評価する回答はわずか37%だった。

 

 

地政学

中国経済の新たなリスク、碧桂園19%安-オンショア社債取引停止 - Bloomberg

中国有数の不動産開発業者である碧桂園は先週7日の利払いを履行できず、デフォルト(債務不履行)回避のための猶予期間が30日を切った。

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 巨額の債務を抱え、実質的デフォルトに陥った同業の中国恒大集団の4倍というプロジェクト数を考えると、さらに深刻な影響が懸念される。碧桂園の社債価格は、額面1ドル当たり10セントを下回る著しいディストレス水準。

 

中国、大手資産運用会社の投資商品支払い遅延で作業部会設置ー関係者 - Bloomberg

 

 

個別株:

■注目決算なし。

 

■Tesla値下げ。中国は景気悪いので、車が売れていないのかしら?;
テスラ、中国で主力「モデルY」2車種値下げ-価格競争で攻める - Bloomberg

株価はあまり反応せず、-1.19%、239.76ドル。

 

■JPMorgaが日本株推奨;

米インフレ率は3%で長引く公算、コラノビッチ氏がCPIで確信 - Bloomberg

JPモルガンは日本株の投資判断をあらためて「オーバーウエート」とした。インフレの根強さが明らかになれば、日本の資産クラスが世界のポートフォリオにおいて有益なヘッジになるとみる。「日本株の買いは過去に照らし合わせても過度に進行しているわけでなない」と指摘した。

日本株と言えば、昨日はトリドール(3397)がハネた;

トリドール 1W 2023/8/14 - ヤフー・ファイナンス

優待狙いで持っているだけなので、宝くじに当たったようなもの。

 

 

 

■今日の〆は元ダラスFED総裁ロバート・カプラン。FEDを辞めた(内規に反した株取引で辞任)あと、発言がまともになったと見直し始めているが、今回はどうでしょう?;

www.youtube.com

Goldman Sachsは「FEDは11月に最後の利上げをしたあと、来年2Q から利下げし始める」とコールした。次のゲストは最適だ。元Goldmanであり、元FEDだ。

 利下げはあまり話題になっていないが、市場には織り込まれている。数週間前、ジョン・ウィリアムズNew York Timesのインタビューで利下げに言及している。あなたはどう思いますか?長期債を心配しているそうですね。

・インフレがソフトになっているのは間違いない。しかし、横風(注:正確には横潮、cross currentと言っている)が吹いている。モノはとても弱い。中国はとても弱いので、さらにモノを弱くする。一方、企業は多額のプロジェクトを立上げている。サービス業は回復力があり、そこでインフレは粘着的だ。原油価格も上がっている。多くの横潮がある。FEDは9月にアクションを起こさないだろうが、来年中旬までに利下げを行うような状況にはならないだろう。そういう結果になるかも知れないが、現時点でそのような期待はしていない。

原油価格上昇や労働市場によって、ヘッドラインCPIが上昇するのを心配しているか?

・もし財政支出(government spending)がなければ、それをとても心配はしない。しかし、数Bドルの新規工場プロジェクト、public-private partnerships、インフラ・プロジェクトが発表され続けている。それはX-factorであり、計測するのが難しい。それゆえ、私は横潮に対して用心している。しかし、米国経済の弱まりがインフレを低下させると希望を持っている。

財政支出が行われる一方で、FEDは金融を引き締めている。ゴルディロックスになるでしょうか?全ては良好に?

・FFレート、短期債利回りに向けられていた注意が、長期債、5年、10年債、30年債利回りに向かう。GDPに対する国の債務比率、歴史的な債務額、現在の財政支出額に対しての代償として10年債利回りが上がっている。今後6か月のストーリーは長期債利回り上昇、それが企業を痛めつけ、長期資産を持っている銀行の状況をさらに悪くする、といったものになるかも知れない。リセッションに陥らない事に対して代償を払う必要がある。それは長期債の高金利であり、長期的に多い債務である。それは心配なことだ。

ーインフラ法案、CHIPS ACT、Inflation Reduction Actが長期的にデフレ的であったり、国家財政に良かったりするだろうか?

・もし生産性が上昇すれば、Yesだ。短期的には、モノとサービスへの需要をハネ上げている。エネルギー転換、EVやソーラー発電に関しては中国がリーダーだ。半導体、エネルギー転換において、非グローバル化が進んでいる。それらはとても高くつく。

ーしかし中国は石炭(発電)についてもリーダーだ。彼らは発電ソースが何であるかを気にしない。

・以前も述べたとおり、それは私を短期的に心配させる。このエネルギー転換は20年、25年かかる。私の見立てでは5年後に石油需要のピークがくる。誰も言いたがらないが、真実だ。もし我々が米国の化石燃料算出に投資しなければ、世界的もっと石炭を燃やさなければならなくなり、石油価格が上昇する。インフレは粘着的で、金利は高くなるだろう。よりインテグレートされたエネルギー転換が必要だ。

ーあなたはYesではなく、生産性向上次第だと言った。

・そうだ。

ー生産性は向上すると思うのか?

・私は企業人だった。多くの資本投資に関わり、一つが世界を変えると思っていた。これら投資の裏にある生産性向上という理屈に希望を持っている。希望を持っており、リーズナブルであると考える。

 一方、自分だけでやるのではなく、グローバル化について・・・、最近あるエコノミストがスピーチをしていた。もしエネルギー転換におけるグローバル化を制限するなら、もっと費用がかかるようになると言っていた。私もその認識だ。

色々言っているのをまとめると・・・;

・インフレ率は下がっているが、その道筋を逸らせるかも知れない要因がある。中国経済の弱さ、サービス業の価格粘着性、原油価格上昇、巨額財政支出など。

・巨額債務を財源にした財政支出でリセッションを逃れたとしても、代償を払う必要がある。それは高インフレと長期債の高金利だ。

・巨額財政支出の良し悪しは、将来の生産性向上で測るべき。生産性が向上する可能性はある。

・心配なのは、非グローバル化をしながら、エネルギー転換を短期に行おうとしていること。

 今後5年間、化石燃料の需要は伸びるのに、そこに投資をしていない。その結果、石炭を使わなければいけなくなるし、石油価格も上昇する。

 EV、ソーラー発電のリーダーである中国を切り離してのエネルギー転換は高くつく。

 結果、インフレを押上る。

 

・・・。

前半部分に異論ありません。追加するとすれば、「リセッションは不要な人員の削減や、ゾンビ企業を淘汰するなど、経済の自浄作用。リセッションがあることで資本効率が上がる」という主張があるので、リセッション入りしない代償として、資本効率が向上しないという代償もあるでしょう。

 

問題なのは後半部分。中国抜きでのエネルギー転換が高く付くのは、その通りだと思います。中国では人の値段が安いので(かつての日本もそうだった)、土壌汚染など気にせずレア・アース開発ができるし、ソーラーパネルが安く作れる。

だからと言って、そのような中国(や、コバルト産地であるコンゴなど)に依存してエネルギー転換を進めるべきなのか?というと・・・。

カプランはどこかからカネもらって中国切り離し反対の立場を取っているのか、中国の環境汚染なんて気しない・米国さえ良ければOKと言っているのか、どちらでしょう?

いずれにせよ、将来の政権入りを狙った発言のような気がしないでもない(邪推)。

 

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