塾長です。
昨日(米国9/16)の米株市場は、「おっと、これは5%下落の前振りか?」と思わせるようなサゲで始まり、終わってみればなんともなかった。本当にしぶとい。
S&P500、4,473(-0.16%)
Nasdaq、15,181(+0.13%)
【米国市況】S&P500小反落、国債続落-まちまちな指標を消化 - Bloomberg
債券、為替、コモ:
原油、72.64
10年債、1.3310
ドル円、109.7300
Bitcoin、47,773
経済指標:
8月 小売売上高[前月比]、0.7%(予想-0.8%)
8月 小売売上高・自動車除く[前月比]、1.8%(-0.1%)
9月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数、30.7(18.8)
米小売売上高は予想外に増加、底堅い需要示唆-自動車以外が好調 - Bloomberg
米新規失業保険申請が増加、ハリケーン被害のルイジアナ州で急増 - Bloomberg
財政政策:
マコネル米上院院内総務、債務上限巡りイエレン財務長官の要請を拒否 - Bloomberg
地政学/中国:
IMF専務理事の関与指摘、世銀「ビジネス環境の現状」不正調査 - Bloomberg
関連ニュース:ゲオルギエバ IMF専務理事、李波氏の副専務理事就任を提案
中国、TPP加入を正式申請-アジア太平洋の主導権巡り米に対抗 - Bloomberg
加入交渉は容易なものにはならない。中国はTPP加盟国オーストラリアの輸出品に多額の関税を課すなど同国と経済・貿易紛争のさなかにある。・・・カナダも中国との争いを抱えている。・・・加入交渉は長い時間を要する見込みだ。
中国は本当にうまい。国際機関を抱き込むし、国際的枠組みも中に入って自国が有利な方向に持っていく。
個別株:
日本でもおなじみInvescoとState Streetが合併するかも?
・これは超デカいディールになるかも知れない。InvescoはState Streetと合併にむけて話し合っている。WSJが今まさに伝えたところだ。State Streetは1792年設立、$4Tの資産を管理しており、銀行のための銀行と言って良い。
ディールサイズは大きいかも知れないけれど、エキサイティングではないネ。
今日のオモシロニュース枠はこちら。Scorpion CapitalがBarkley Lightsを詐欺呼ばわりして、空売りを仕掛けている:
ーBerkeley Lightsの株が下がっている。約11%下落。昨日は19%下げた。空売り筋のScorpion Capitalがレポートを出したからだ。それによると「公に取引されている詐欺だ。燃え盛るゴミ箱の炎のようだ。主要製品は機能しない。生き残る可能性はない」。Berkeley LightsはARK Innovation ETFの40番目の大きさ。Scorpionのキア・コロンを呼んで話を聞く。
ーこのレポートは元従業員へのインタビューを基に書かれている。なぜ彼らの言う事が正しいと言えるのですか?
・レポートは、元従業員へのインタビューをベースにしているところもあるが、核心となる部分はBerkeley Lightsの14の顧客へのインタビューだ。Berkeleyは研究所内で細胞をスクリーニングするための機器を売っている。新薬開発に使われる。顧客は製薬企業やバイオテック企業だ。7人以上の元従業員、14の顧客にインタビューした。歴史のある企業だ。Bristol Meyers、タケダ、Abby、Novartisなど。全ての顧客のフィードバックは否定的なものだった。製品の値段は高く、$2M。製品は動かない。製品は性能通りに動かない。多くの場合、使っていないそうだ。そしてそれらは元従業員の証言とも一致する。元重役も含まれる。元従業員、顧客から得た情報は一貫している。我々が発見したコトに確信がある。
ーそれら大手製薬企業が詐欺られたと言っているのですね。動かない製品を買わされて、返品もせず、棚に置いているだけだと。
・それがまさに起こっている事だ。大手製薬会社はそのように動くものだ。$100Bの市場価値があり、無制限の予算がある。著名ベンチャーキャピタルが支援していて、新技術に目が眩む。$10Bの売上をもたらすかも知れない新薬を開発するとき、$2Mくらいの機器は買うものだ。重役がビジョンに騙され、科学者が使ってみたら使えない。我々の得たフィードバックはそのようなものだった。企業の上位職が技術の約束に惑わされ、現場で利用する人はその利用に抵抗する。
一部の顧客は製品を返品していた。14顧客への質問の一つは「もし返品できるとしたら、しますか?」であり、多くが「そうするだろうが、どうせカネは戻って来ないので返品しなかった」と答えた。
ーBITGによると、(Berkeleyの)顧客は満足していて、目標株価を65ドルと置いた。あなたが言っているのと反対だ。どちらが正しいと言いたいのではないが、興味深い。
・私はまだそのレポートを読んでいない。どの顧客と会話したのか分からない。Berkeleyの顧客の推薦のページを見ると、そこにはレッドフラグがある。4つの顧客しか載っていない。それら4社は、$2Mの機器を買うには小さすぎるように思う。我々は、彼らが製品を無料で入手し、ポジティブな事を言っているのではないかと疑っている。そして、その4社のうち、1社のみが製薬・バイオ企業。Pfizer、Novartis、Bristol Myers Squibbなどが顧客であるなら、どうして彼らの推薦がないのだろう?我々は十分な量のインタビューをしていると思っているが、どこかの企業のどこかの部署ではポジティブな体験があったかもしれない。
一歩下がって、この会社についてハイレベルな観察を述べたい。この企業の株は売上の20倍で取引されている。成長株のように取引されている。我々がレポートを出す前のことだ。しかし、過去4四半期に渡って製品売上は横ばいだ。過去2年間と言って良い。しかし成長株と同じ扱いだ。彼らは2016年にこの製品を売り出した。以来92個しか売っていない。TAMは$23Bだそうだ。部屋の中の象は、なぜ$23BのTAMがあって、ゲームを変える技術があって、5年も経ったのに、92個しか売れていないだろうか、だ。
ーレポートを出してから、ショートポジションをカバーしましたか?
・日々の取引についてはコメントしない。このショートには確信がある。大きなポジションを取っている。数か月前にQuantamScapeのショートポジションについて話をした。それはいまだ我々のコアとなるショートポジションである。
ー本日はありがとうございます。
Berkeley Lightsからちょうど反応があった。「我々のビジネス、技術、顧客関係には強い自信がある。・・・。自称ショートセラーのScorpionから出たレポートはミスリーディングで、根拠がなく、業界の理解に欠けている。Scorpionはレポートを出すにあたり、我々に連絡がなかった。彼らの狙いは、株のショートによる利益だ。・・・」
キア・コロンはZeroes TVにも出て、自説を述べているので、興味のある方はどうぞ:
このblog記事は、Berkeley Lightsが詐欺かどうか、株をショートすべきか(否か)について、どのような立場も取っていません。エンジェル、VC、著名投資家、機関投資家、IPO、SPAC、空売り、などが関わる、躍動的な金融の世界を楽しんで頂ければと思っています。