塾長です。
昨日(米国2/28)の米株市場は、大きくスイング。BuyとSellが戦っている。
S&P500、4,373(-0.24%)
Nasdaq、13,751(+0.41%)
原油、95.92
10年債、1.8390
ドル円、115.0480
Bitcoin、43,212
ビットコインが一時10%上昇、対ロシア制裁の影響で暗号資産を選好 - Bloomberg
米国債でも円でもなく金-ウクライナ危機で人気の安全資産 - Bloomberg
2月 シカゴ購買部協会景気指数、56.3(予想63.0)
ボスティックのタカ派発言。3月10日に出るCPI次第だそうです。
アトランタ連銀総裁、インフレ高止まりなら0.5ポイント利上げも - Bloomberg
ボスティック総裁は28日・・・「3月の会合では引き続き25bpの利上げを支持している」・・「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れするような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」
しかし、市場は既に3月0.5%利上げは無い、と言っている。
3月の0.5ポイント米利上げほぼない、OIS示唆-ウクライナ危機で - Bloomberg
米国の追加制裁。
バイデン政権、ロシア中銀に制裁-米国民や米企業との取引禁止 - Bloomberg
MSCIは、指数からのロシア排除に前向き。
EXCLUSIVE MSCI says removing Russia from indexes 'natural next step' | Reuters
"The natural next step that we could potentially implement - we haven't made any decision yet - but the natural next step might be to actually consider removing MSCI Russia or removing Russian securities from our indices"
何の決断のされていないが、我々に次に出来る事は、自然と、MSCI Russiaの排除もしくは、ロシアを我々のインデックスから取り除くことだろう。
ロシアはMSCI Emerging Markets Indexなどに含まれていますね。これを基準にして、例えば「eMaxis Slim 新興国株式インデックス」が運用されている。
そんな経済制裁強化の中、JPMorgan ジェイミー・ダイモンが「SWIFTからロシアを排除しても、抜け道はたくさんある」とうっかり口を滑らせた。
ーSWIFTからのロシア排除は銀行システムにどのような意味があるのか?
・少し誤解があるようだ。制裁(sanction)やSWIFTの利用制限を決めるのは政府。Sanctionは「この人とビジネスをしてはいけません」と決めるもの。SWIFTからの排除は「この人と(金融的な)通信を行ってはいけません」と決めるものであり、ビジネスはしても良い。SWIFTには多くの抜け道がある(there are a lot of work arounds on SWIFT)。様々な理由をもとに、様々なツールが使われるということだ。銀行は政府と会話して、皆が課題を理解している。
戦争はあなたの思い通りには行かないものだ。経済制裁もそうだ。十分に検討しなければいけない。
ーSWIFTに抜け道があるというのは問題ですね。代替システムが利用されるのであれば、西側の金融システムにとってリスクでは?
・政府は我々に対して「何をしてはいけない」と命令できる。Sanctionはターゲットが明確であり、クリーンだ。そこに抜け道はない。抜け道はあるべきでない。私は愛国者だ。我々は米国政府の命令に従う。心配なのは、”意図しない結果”である。ある国を痛めつけようとすると、抜け道を探す人が出る、それをどのように修正するか、といった事。例えば、米国政府も(ロシアからの)エネルギーに対して支払いを行う方法は確保していきたい。考えなければいけない問題がたくさんある。
その抜け道の一つとして注目されているのはBitcoin(仮想通貨)。こちらのレポートでは、日々のBitcoin-ルーブル間取引高は$200K(≒2千2百万円)、Bitcon-USDは$3.5M(≒4億円)であり、ロシアが行っている金融取引$50B/日には到底及ばない、と説明している(詳細割愛)。
こちらロシアの対応。外貨送金禁止と利上げ。たぶん、普通のロシア人は手元にあるルーブルを急いで外貨に換えているのでしょうね。
プーチン氏が国外への外貨送金を禁止、既存債務の履行は対象外 - Bloomberg
ロシアが大幅利上げ、03年以来の高水準に-制裁対応で通貨防衛強化 - Bloomberg
こちらもロシア制裁関連から。Shellがガズプロムとの合弁解消。
シェル、サハリン2などロシアとのエネルギー合弁解消へ - Bloomberg
シェルはロシアのガスプロムや関連企業との合弁事業を解消する。これには液化天然ガス(LNG)プロジェクトのサハリン2も含まれ、シェルは27.5%の持ち分を手放す。
昨日、BPも同じような発表をしている(英BP、露ロスネフチの持ち株処分へ-2.9兆円の評価損計上も - Bloomberg)。ShellもBPもイギリスの会社。まだ「(EU主要国である)ドイツ、フランスの企業がロシア企業との合弁を解消した」的なニュースは入ってきていない。温度差が出ていて興味深い。
今日もまた地政学に場所と時間を取ってしまったので、普通のオモシロ決算ニュースは一つだけ。
新興EVメーカー Lucidのガイダンスが期待外れで、株価下落(時間外)。CNBC、フィル・ラボゥのレポート:
・Lucidの株価がプレッシャーを受けている。決算の内容からだ。一株当たりの損失は$0.64。売上$26.4M。
株価の下押し圧力は、生産のガイダンスによるもの。予約数は25,000を超えた。11月15日の前回発表時は17,000だった。これは$2.4Bの売上に相当する。2月28日時点での生産数は400台を超えた。ここからが問題だ。2022年の生産台数が更新され、12,000~14,000台となった。前回のガイダンスでは20,000だった。大きな減少だ。
CEOピーター・ローリンソンは、最大の問題はサプライチェーンと品質問題だと述べた。サプライチェーンについて多くを語らなかったが、いくつかの問題を指摘した。ガラスが彼らの品質標準に達していないので、別の仕入れ先を探している。カーペットの品質にも問題。これら2つの例を挙げて、別の仕入れ先を探していると言った。
そして、彼らは2050年までに500万台の生産を期待しているとした。アリゾナ州にある工場に加え、Saudi Arabiaに新工場建設を計画している。
この新しいガイダンスをもとに、株価が時間外で8%下落している。
そりゃ、生産台数見込みが3~4割減ったら、株価は下がるよね。このレポートが出た時点では-8%だったようですが、最終的には-14%で着地。
ただ、21年終盤のバブル的上昇を除けば、1年前と同じ水準で取引されているので、「大暴落だ!」という感じでは全くない。こちら、1年間株価チャート。
このニュースのもう一つのポイントは、新工場がサウジ・アラビアだという点。サウジは石油に続く/代わる経済の柱として、資産運用に積極的。日本人には、ソフトバンクVFに出資していることでもお馴染み。
彼らがもう一つやりたいのは、国内で余った人?遊んでいる人?を働かせたい。超裕福な産油国なので、国民は働かなくても食べていける(いけた)。これからはそうは行かない(かも知れない)ので、国内で人を使う産業を立ち上げたいと思っている。人を使う産業≒製造業。政治的安定も目的の一つかも(若い人が遊んでいると碌な事が無い)。
ここから推測ですが、Lucidはサウジから投資(融資?)を受けたのかも?「作った分だけ買ってやる」と言われているのかも?
ふむふむ。なかなか有望な投資先に見えてきた!
(投資は自己責任で)