塾長です。
昨日(米国2/13)、米株は大幅上昇。株を後押しするニュースは無かったので、今晩発表されるCPIがリークしたのかもしれません。
S&P500、4,137(+1.14%)
Nasdaq、11,891(+1.48%)
【米国市況】株上昇、賃金増期待の低下でCPI懸念後退-132円台 - Bloomberg
直近では中古車価格上昇していたりして、高いCPIが出るんじゃないの?って噂もあるのですが・・・;
1月の米CPIは急上昇か、インフレ抑制への険しい道のり示す公算大 - Bloomberg
原油、79.24
10年債、3.7170
ドル円、132.2900
Bitcoin、21,813
なし。
ボウマンFRB理事、「一段の引き締め必要」-インフレ目標に向け - Bloomberg
なし。
なし。
■ 大手決算なし。
■ 弱気派マイク・ウィルソン、元強気派コラノヴィックも株安を願ってやまない;
JPモルガンのコラノビッチ氏、株式を売却し債券へのシフト推奨 - Bloomberg
「株式相場は昨年夏の高値付近にあり、企業収益の軟化や最近の金利急上昇にもかかわらず株価評価の倍率は平均を上回る水準にあるため、市場はインフレに関する最近の朗報を過大評価し、リスクを楽観視しているとわれわれは主張する」
米株市場は金融政策と企業利益の現実無視-モルガンSのウィルソン氏 - Bloomberg
「最近のフロントエンド金利の上昇は、景気抑制的な金利が望まれているより長く維持されるとの見方と整合的だが、株式市場はこの現実を受け入れることを拒否している」
◆ もう一人弱気派を紹介。Miller Tabak マット・マーレイ;
バリュエーションが高過ぎる。PERだけではない。earningsは操作できるが、salesは操作できない。Price-Sales ratioは2.3。2000年、2007年の最高値よりも高い。WW2以降の全てのベアマーケットでは、少なくともPERが15倍まで下落した。市場はこのレベルを保てるはずがない。QEのような流動性の注入がなければ。
下線太字の部分に対して、「日銀がQEをやっていて、それが(周りまわって)世界のリスク資産価格を押し上げている」との主張もある;
日銀、1月の国債購入額23兆円で最大 金利上昇に対応: 日本経済新聞
■ ここからは強気派(?)の意見。
◆ Wells Fargo クリス・ハーヴェイはこんな事を言っている(要約);
ベアマーケット(弱気相場)が終わったと思う理由は2つ。通常ベアマーケットでは、企業のバランスシートが悪くなるが、そうなっていない。2つめは、債券市場が、ベアマーケットが終わった時の動きを見せている。credit spreadが縮まっている。3,4か月前に比べて、借入金利が低くなっている。
経済は不快な状況(economic malaise)にあるが、システマティックなリスクは高くない。
相変わらず難しくしゃべっているけれど、さらに意訳すると「企業収益が悪化して、株が暴落すると思っていたけれど、それは起きなかった。社債金利も高くなっていない。株の上値も限定的だが、下値も限定的」って感じで、普通の事を言っているだけ。
◆ 強気派と言えば、トム・リー;
ースーパーボールになぞらえて聞くと、投資家はoffensive、defensiveのどちらで行くべきか?
・投資家はoffsensiveになるべき。去年10月からdipで買うべきだった、という事。今日がその良例だ。ここ数日の値下がりを今日取り返した。
ーS&P500年末ターゲットは?
・4750。S&P500が年初26日目に5%上昇したとき、年末20%以上値上がりした年が78%あった。17回のうち16回は年初よりも年末の方が高かった。
ー2月はどうでしょう?
・2月はtrickyだ。1月は強かったのは、2月から借りてきた分も入っている。我々が勧めるのは、dipで買うこと。リードするのは、テックと一般消費財(consumer descretionary)だ。
ー去年はインフレ、ドル高がテーマでした。今年はAIだと言われています。
・AIはデカイ。AIが様々な問題を解決する。労働不足、情報を処理できる人が少ない。ChatGPT、BARDにはできる。人の決断を助けられる。GDP、株式市場への添加剤(additive)になるだろう。
ーソフトランディングかハードランディングか?はたまたno landingか?と言われています。そもそもそれはどういう意味なのでしょう?
・No landingとは、経済のスローダウンが起きず、成長すること。FEDはそれを期待している。私は、no landingシナリオは、delayed landingだと思う(着地を遅らせているだけ)。今年経済の着地があると思っていたのが、来年になるようなもの。そして着地を遅らせれば遅らせるほど、着地はハードになっていく。
ー金融引締めがあっても、経済は活況。明日高いCPIが出た場合、FEDはどうするでしょう?
・次回会合まで、2回のCPI発表がある。今回すぐに反応するわけではない。去年12月、FEDのインフレ見込みに対して、経済学者などはもっと低くなると反論していたが、先週の雇用統計が出た後は、FEDの考えに近づいたようだ。明日CPIが高く出た場合、その線が濃厚になるだろう。
ー市場は金利引上げ停止や利下げを望んでいる。あなたはどう読みますか?
・全てはデータ次第。モノや住居費などdis-inflationはあるだろう。しかしパウエルが先週言ったように道のりはbumpyになる。物価は魔法のように下がったりしない。それによって、0.25%利上げ(the sequence of 25 basis point increases)がいつまで続くかが決まる。
ーあなたが書いたno landingシナリオでは、強気なのか、弱気なのか?リセッションにならないのは良い事だが、金融引締めが続くことになる。
・FEDは明らかに経済のスローダウンを願っている。労働市場のバランスが取れていないと繰り返し主張している。彼らがスローダウンを見ない限り、彼らはスローダウンと作り出そうとする。さらに金利を上げて行くのか、高い金利を続けるのかは分からない。No landingというのは、FEDの願いとは相いれない。最初に私が、no landingはdelayed landingに過ぎないと言ったのはそのためだ。
ー0.5%利上げはあるだろうか?
・彼らに柔軟性はあるだろうが、0.25%だろう。先週NY FED総裁ジョン・ウィリアムズに「0.5%は考慮の対象か?」と聞いた時、彼はそうしたくなさそうだった。全てに可能性はあるが、彼らは市場に利上げ幅0.25%、高金利が長期間続く、利下げは無い、と思わせたいのだ。
・時間がかかろうとも経済はスローダウンする(しないなら、させる)
・0.25%利上げが複数回ある(3月で打ち止めではない)
・経済スローダウンするまで高金利は続く
といったところでしょうか。
とは言え、経済スローダウン=株暴落ではない。
今期決算シーズンで株暴落を予想していた人は多かったが、それが実現しなかったように、何が起きるか分からない。
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