塾長です。
昨日(米国2/9)の米株は、S&Pが史上初めて終値5,000を突破(祝)。
その騒ぎの裏で長期金利上昇。円安。
S&P500、5,026(+0.57%)
Nasdaq、15,990(+1.25%)
【米国市況】S&P500は終値で初の5000超え、強気派に衰え見えず - Bloomberg
原油、76.60
10年債、4.1870
ドル円、149.2560
Bitcoin、47,191
米CPI年次改定、23年10-12月ほぼ変化なし-FRBに安心材料 - Bloomberg
米国で再び「大引退時代」の到来、株高の追い風が高齢層の資産を潤す - Bloomberg
■ローガン、ボスティック;
ダラス連銀総裁、FRBは時間をかけてデータを精査する必要 - Bloomberg
アトランタ連銀総裁、2%へのインフレ率低下に「鋭意集中している」 - Bloomberg
なし。
なし。
■PepsiCoなどが決算;
PepsiCo (PEP) Q4 Earnings Beat Estimates, Revenues Miss
-3.55%、167.67ドル。
つられてKO、GISなどが下げている(涙)。
■今日の〆はコマル・スリ‐クマーのインタビューにしようと思いましたが、まずは要約版で;
- 商業不動産(Commercial Real Estate)の影響でFEDは次回FOMC(4/30、5/1)で利下げする。CREの津波が来る。タイミングを計るのは難しいが、2024年上期だ。
- ジャネット・イエレンは否定しているが、これはシステミック・リスクになり得る。欧州、日本のも波及しており、中国不動産下落の影響もある。
- これが経済に対し広範囲な影響を及ぼすのかは、この問題がどのように扱われるか次第。早く利下げ、QEに転じれば、軽度で済む。2008年7,8月に行動していれば、リーマン破綻は避けられた。そこから教訓を得ていることを望む。
- クレジットイベントによる利下げがおきると、その幅は大きくなり、速い。今年、6~8回の利下げになる。
- 早く行動すれば、経済への影響は小さくなるが、インフレとの戦いを諦めなければならない。
- 年末時点での金利は今より低く、インフレ率は高いと予想する。
これ(↑)はこれで興味深い話(予想)でしたが、ブレント・ドネリーの話の方が面白かった。長い(30分)ので、前半部分だけ;
私はFXの人間だが、株やココアの方が面白い。最も興味深いのは、米国経済がクルーズコントロールされていることだ。人々はBigfootのようなリセッションを探している。経済データの見出し(headline data)を掘下げれば、Bigfootは見つかるだろう。様々な調査報告、データの仔細な部分、民間のデータをみれば、だ。しかしヘッドラインデータは、米国経済が良いと分かる。
周辺部を見てみれば、カナダ、スウェーデン、ニュージーランドなどは家計負債が大きく、不動産に対し脆弱で、ぎりぎりのところでやっている。カナダは過去10年で人口が10%増加したのに、過去3四半期のGDPは増えていない。それでも労働市場はOKだ。
この(経済)サイクルは他のと違う。
このサイクルを特徴づけているのは、確証バイアス(confirmation bias)だ。あなたが弱気で、リセッションを予想している場合、常にリセッションが目前にあるというデータが見つかるだろう。特にソフトデータだ。ISM、NFIBなどのサーベイ(聞き取り調査)。ビジネス界、一般人は多くの悲観を示していた。通常のサイクルであれば、ソフトデータが先行し、ハードデータが後からついてくる。
このサイクルは違う。まず2つの集団(cohorts)がある。ビジネス集団は共和党寄りな傾向がある。NFIBは小企業なので、その傾向が極端に強い。CEO、NFIBには共和党支持が多い。バイデンのおかげで、彼らは悲観的だ。経済サーベイは実際の経済で起きていることよりも、共和党・民主党支持を表す傾向にある。
消費者集団は実賃金に反応する。実賃金よりもインフレが勝っていたので、誰もが悪く感じていた。
今はインフレ率が下がってきて、トランプが勝つ可能性が高まっている。私の見立てでは、ソフトデータがハードデータに追い付いてきている。ハードデータはほぼ全てで強く出ている。
しかし、もし弱気派であれば、雇用統計のhousehold surveyなどを見て、弱気になる理由を見つけることができる。ここでは長くなるので話さないが、household surveyを信用していない。レイオフのニュースもそうだ。直近、レイオフが増えている。しかしレイオフと同時に雇用(hiring)も見なければならない。レイオフされた人が翌日仕事を見つけたなら、それは(経済にとって)何も意味しないのだ。それが起きている。
私は外挿法(exptrapolation)を予測に使うのを好まない。今起きていること(好景気)が永遠の続くと言っているのではない。あなたができるのは、最もタイムリーなハードデータをを使って、あなた自身で評価することだ。90年代はハードデータしかなかった。今や15個の民間データ、例えば労働市場であればJOLTS、不動産であればZillow、インフレであればTruflationがある。リセッションになるという予想を強く持っている場合、確証バイアスがあるということだ。常にそれを確認できるデータを見つけることができるだろう。
私はオッカムのカミソリ(Occum's razor、仮説は最小限にすべき)だ。ハードデータをみて、このデータがいつまでも続かないかも知れないと、心を開いておく。例えば失業保険継続受給者数が毎週出る。変化は大きくない。失業保険は失業し続けていないともらえないので、雇用市場の集合体だと言える。ハードデータを見て、雑草をみないことだ。devil's in the details(悪魔は細部に宿る)と言う。それは真実だと思うが、悪魔がリセッションを予言してから18か月経過した。
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(このあと、ドットコムバブルとの相似性などを論じている。そちらも示唆に富んでいたので気になる方はどうぞ)
ポイントは・・・;
・リセッション予想はBigfoot(幻の動物を追っている)。米国経済は強い。
・確証バイアスに陥るな。様々なデータが出ているので、どこかであなたの思い込みを裏付けるデータを見つけることができる。
・細かいデータや聞き取り調査(サーベイ)はノイズ。
・サーベイが経済の実態や行先を示さないのは、経営者には共和党支持が多くバイデン政権では弱気になる、消費者は実質賃金に反応する、から。
・ハードデータをみて傾向の変化点を読み取れ。
だ、そうです。
変化点が来るまで待って、売り抜ける(or買う)というのはトレーダーの基本姿勢。マクロの人達とは違う。
”確証バイアスに陥り、データを細かく見過ぎている”と聞いて、先日のガンドラックのインタビューを思い出しました;
ガンドラックはマクロの人で、景気後退派。州が出している雇用データとハードデータであるBLSの雇用統計の差を例に、ハードデータが信用できないと言っていた。
ガンドラックが間違っていると言っているのではありません。どちらが正しいのか分かりません。
今期か、来年か、5年後か?、いつかは景気後退がやってくるので、その時景気後退派は「ほら、俺の言った通りだ」と言うでしょう。
問題は「儲かったのか?」。(「どちらが儲かったか?」でもない)
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