塾長です。
昨日(米国6/7)は強い雇用統計が出たが、米株はあまり反応せず。大きく反応したのは米国債。10年債利回りが+3.48%ぶん上昇し、4.4300%。
S&P500、5,346(-0.11%)
Nasdaq、17,133(-0.23%)
【米国市況】米国債利回り急伸、利下げ期待後退-ドル一時157円8銭 - Bloomberg
原油、75.38
10年債、4.4300
ドル円、156.7529
Bitcoin、69,464
米国債利回りが上昇、予想外に強い雇用統計で利下げ見通し後退 - Bloomberg
5月 NFP[前月比]、27.2万人(予想19.0万人)
5月 失業率、4.0%(3.9%)
5月 平均時給[前月比]、0.4%(0.3%)
同[前年同月比]、4.1%(4.0%)
4月 卸売在庫[前月比]、0.1%(0.2%)
米雇用者数は大幅な増加、賃金伸び加速-米利下げの予想後ずれ - Bloomberg
米雇用統計に使う家計調査、サンプル数削減へ-指標内容への影響懸念 - Bloomberg
雇用統計に限らず、政府機関が実施する調査はいずれも、回答率の低下とデータ収集コストの増加という問題に直面している。
米家計純資産、1-3月に過去最高を更新-株式相場の上昇寄与 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)が7日発表した資料によると、第1四半期の家計純資産は前四半期に比べて5兆1000億ドル(約800兆円)、率にして3.3%増加し、160兆8000億ドルとなった。
なし。
なし。
なし。
■注目決算なし。
■〆はお久しぶりのジェレミー・シーゲル教授;
ー雇用統計から始めたい。見出しの数値はとても強かった。賃金も強かった。しかし失業率は上昇した。どうやら2極化があるようだ。FEDは夏のあいだ利下げしないだろうか?
・今日注目すべきは10年債である。何度12bptの変動を目にしたことがあるだろうか?とても大きい。しかし株は保った。通常、10年債利回りの急上昇は株の下落を伴うものだ。思い出して欲しいのは、先週終盤から今週にかけて、とても弱い(経済)データが出ていたことだ。経済が横滑りしているようだ。Atlanta FED GDPNowは、今期初めの予想では第2四半期のGDP成長率が4%を超えると予想していたのに、2%以下となっていた。そこには経済がスリップして、リセッション入りするのではないかという恐怖があった。この雇用統計と、先日のISMは安堵のため息であった。先ほどAltanta FED GDPNowをチェックしたら、3%を上回っていた。経済は保たれている。確かにあなたが言うように、household surveyは下がり、establishment surveyの方は上がった。(国債の)利回りが上昇した理由の一つは、あなたの質問であるFEDは何をするか?に関わるもので、賃金が予想以上にホットだったことである。しかし、賃金とインフレの間に入るモノ(wedge)があるのを忘れてはいけない。それは生産性の向上(productivity growth)である。単純に「この賃金ならこのインフレ率だね」と単純に変換してはいけない。なぜなら生産性は上昇しているからだ。1Qの生産性は良くなかったが、たいていは跳ね返る(bounce back)ものだ。この賃金上昇4.1%というのは、インフレを脅かすものではない。実際、私は今年後半にインフレに関する良いニュースを得ると思っている。
ー生産性というwedgeは興味深い。現在AIがどれくらい織り込まれているか分からないが、ソフトランディングを考えるうえでAIはどれくらい重要か?
・私はAIが経済成長にとても大きな役割を果たすと信じている。多くのエコノミストは(AIの影響は)「まだだ」「2025、2026年だ」と言っている。Goldmanなどは10年にわたり、GDPを75%~150bpt引き上げると言っている。それは巨大な成長が将来あるということだ。おそらく、いまだ8~9%の企業くらいしかAIプログラムを実施していないだろう。しかしその変わり目にいる(on the cusp)。市場は将来を見通すものだ。例え、生産性が少しの増加に留まっていても、それは今後何が起きるかの勇気付けとなる。
ー今日のところは金利が上昇していたとしても、株の上昇は続くということでしょうか?
・そうだ。30bpt下がったところに、その1/3を取り戻しただけである(???)。金利は下がると、人々は「それは株にとって良い」と言うが、金利低下には2種類ある。経済が弱くなり金利が下がるのであれば、株にとってよろしくない。インフレが減速して(それによって金利が下がって)いるのであれば、株にとって素晴らしい。誰もが知っているように、FOMC2日目にCPIが出る。火曜日の午後には、パウエル議長は数字を知っていて、金融政策に反映させているだろう。私は、他のエコノミストと同様に、今年後半のデータはより良いものになると考えている。政府が使っている住居費には時間差(lag)あり、住宅価格や家賃は上昇していないからだ。保険料は安定化している。それらは今年後半に表れ、CPIをFEDの目標にとても近づける。
ということで、
・ISMなど先週終盤から今週にかけて発表された経済データが弱く出ていて、リセッション入りの恐れがあった。ISMと、今日の雇用統計で債券市場は安堵した。
それはAtlanta FEDのGDPNowに見て取れる。
・雇用統計の中の平均時給、前年比+4.1%というのは、それほど心配する必要はない。生産性の向上があるからだ。
・長期にわたりAIは生産性を向上させ、GDPを増加させる。AIを実践している企業は1割に満たず、生産性の向上は僅かだが、現在はその変化点・転換期にいる。株式市場は将来を織り込むものなので、(AIによる生産性向上が完全にデータに表れる前に)株は上がる。
・パウエル議長は5月CPIのデータを知った上で、6月FOMCにおいて金融政策を決定し、会見に臨む。
・今年後半、住居費や保険料が落ち着き、CPIは2%に近づく。
だ、そうです。
これだけAIがブームになっていると、AIが生産性を向上させる前に、幻滅期がある(=株安)のでは?と思わずにいられませんが・・・、まぁ、良いでしょう(良くない?)。
最新のGDPNowはこちら。2Q GDP成長率を3.1%と予想している;
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