塾長です。
昨日(米国6/2)の米株市場はアゲ。上げ幅は昨日の下げ幅よりも大きい。底打ちサイン?bear market rally?
S&P500、4,176(+1.84%)
Nasdaq、12,316(+2.69%)
【米国市況】株3日ぶり反発、経済指標を意識-ドル129円台後半 - Bloomberg
原油、117.24
10年債、2.9130
ドル円、130.0100
Bitcoin、30,488
4月 製造業新規受注[先月日]、0.3%(予想0.7%)
4月 耐久財受注[前月比]、0.5%(0.4%)
4月 耐久財受注(輸送機除く)[前月比]、0.4%(0.3%)
ブレイナードさんが中庸な発言?;
FRBブレイナード氏、米利上げ9月休止の可能性「非常に低い」 - Bloomberg
「現時点でのデータに基づいて市場が6月と7月に0.5ポイントの利上げを織り込んでいることは、妥当な道筋のようだというのが今の私の見方だ」と発言。「休止するという可能性は、現時点では非常に低いと思われる。インフレを当局目標の2%に戻すためにやるべき仕事がまだ多く残っている」
9月休止は、ボスティック発言を意識したものかな?(アトランタ連銀総裁、9月の米利上げ一時停止「理にかなう」可能性 - Bloomberg)
それでは実際のインタビュー動画を丁寧に見て行きましょう;
ーADP雇用統計が出た※1。期待より低い。中小企業が雇用者を減らしたのは2か月連続だ。
・企業売上などでは強い経済を示すデータも出ているし、それ以外では経済が冷めつつあるデータも出ている。しかし我々の最も大きなチャレンジはインフレ率を低下させることである。非常に強い経済が冷えるのは予想しているが、需要がどの程度減るのか、労働市場が良いバランスになるのか、データを注意深く見守りたい。
ーそれを見つつあるという認識ですか?
・そうだというのは少し早い。需要減少、バランスのとれた労働市場、最も重要なインフレ率低下というデータが連続して出れば、自信を持ってそう言えるだろう。
ーJPMorga CEO ジェイミー・ダイモンは経済的なハリケーンが来ると言った。あなたにも見えているでしょうか?我々は心配すべきですか?
・多くの不確実性があるのは確かだ。ロシアのウクライナ戦争、中国のロックダウン。一方で、インフレを低下させなければならない。需要、成長を穏やかにする、労働市場をバランスの取れた状態にすることで、それを成す。労働市場に関して言うと、1人の失業者に対して2つの求人がある。需要が落ちても乗り越えられる。
ーそれはソフトランディングのシナリオですね。多くの人は現実的ではないと言っている。
・インフレを低下させるのは必要。1番のチャレンジだ。強い経済にモーメンタムがある。企業のバランスシートは良好。家計も健全だ。
ーコアPCEが下がるなど、インフレはピークをつけたと思うか?
・インフレ率で重視しているのは、コアインフレ率が連続して前月を下回ることだ。ゴールである2%に向かうのであれば、自信が持てる。我々のツールは総合的な需要を引き下げるのに有用だ。バランスシート縮小と利上げを開始した。金融コンディションはパンデミック前よりも引き締められた状態である。企業が利幅を抑える、消費者がモノからサービスに消費を振り向けることで、インフレ率が下がるだろう。
しかし、我々にはガソリンや食品のサプライショックに対して打てる手は少ない。
※1:米ADP民間雇用者数、予想大きく下回る-回復局面で最低の伸び - Bloomberg
※2:経済の「ハリケーン」に備えよ、JPモルガンのダイモン氏が警告 - Bloomberg
ん?9月利上げについては語っていませんネ。CNBCはインタビュー全編をアップロードしているとは限らないので、CNBCとしては重要ではないという判断の元、カットしたのでしょう。
動画を見てもらえれば分かるのですが、原稿を読みながら、FEDの公式見解を述べている(読み上げている)だけ。自分の意見は出していない。副議長の立場として正しい事をしているのかも知れないが、ニュース性はない。「ブレイナードさんはFEDの公式見解を述べるだけ」と認識できたのが、重要な点かも知れない。
唯一、FEDの見解として初めて聞いたのは、下線を引いた部分。financial conditionはコロナ前より引き締まっているという点。まだFFレートは低いし、FEDが持っている債務は多いのに?10年債利回りは高いけれど(コロナ暴落直前、1.6%程度)。
メスターさんも利上げについて同じ事(インフレ率が2%に向け継続的に低下する必要がある)を言っている;
FOMC、9月以降の利上げペースは物価統計次第-メスター総裁 - Bloomberg
「9月のFOMC会合までに、月間の物価統計がインフレの低下を示す説得力のある証拠を与える場合、利上げのペースを落とすことはあり得る」とメスター総裁は発言。「しかしインフレが落ち着かない場合は、利上げのペースを上げることが必要になるかもしれない」
9月までにインフレ率が大きく下落するとは考えにくい。9月20、21日のFOMCで見るデータは8月分なので、今から2か月しかない。しかし中間選挙に向け、政治的圧力がかかっている(=自身の職がかかっている)※ので、FED高官は経済停滞に向かっていてもこのように言わざるを得ないし、9月も利上げ継続を決める、というのが基本シナリオ。公利より私利を優先。
※:バイデン氏、物価対策はFRBに主要な責任-パウエル議長と会談 - Bloomberg
この辺りは、昨日ジェレミー・シーゲル教授が指摘していたところ。「今後18か月のインフレは既にパイプラインに入っている。今できることはほとんどない。FEDが急ブレーキを踏んで、フロントガラスに頭から突っ込む(=リセッション)のが心配」。
なし。
Bloombergによるウクライナ情勢まとめ;
【ウクライナ】EUが制裁第6弾承認、ゼレンスキー氏は第7弾要請 - Bloomberg
Microsoftがドル高で業績見通しを下方修正するも、株価は反応せず;
マイクロソフト、4-6月の業績予想下方修正-為替要因で - Bloomberg
PaypalとBlock(旧Square)が大幅上昇している。Blockの方はAppleとの協業ニュースがあった(Square、「Tap to Pay」をPOSアプリで今年後半に展開開始 - iPhone Mania)が、Paypayは不明。
今日の〆は、Bank of Ameriaで通信業をカバーしているアナリスト、デイビッド・バーデン(David Barden)のインタビュー;
・成長株は大きく痛手を受けた。投資家は割安株に注目している。特にtelecom。いくつか理由がある。嫌われていたので投資家は多く所有していない、歴史的に見て割安、リセッションへの耐性がある。telecomはサブスクなので、毎月収入が入ってくる。我々はAT&TとT-Mobileを推している。
・Verizonも悪くないが、AT&TとT-Mobileの方が良い。
AT&Tは配当を減らしたが、それでもS&P500の中で10番目に利回りが良い。PERは8倍であり、過去の最低値に近い。キャッシュフローの6倍。これはVerizonは半分。AT&Tは経営戦略の変更にに対して多くの悪い見立てがあるが、彼らは戦略をシンプルにしようとしている。S&P500の中で、市場価値$100B以上の会社が90社程度ある。投資家が所有する株の観点で、AT&Tはその中で89位だ。一般投資家、ヘッジファンドのカネが流入すると思う。
(この後Lumen Technologyがお勧めできない、という話をしているが、割愛)
VerisonよりAT&Tの方が上値余地があると言っているだけで、Verizonがダメだというワケではなさそう。T-Mobileお勧め理由を言っていなかったのは残念(聞いてみたかった)。
リセッションが来ると考えている人(もしくはヘッジしたい人)に、通信株は良い選択かも知れません。
米国に、携帯料金が高過ぎる!なんて言う政治家はいないのも良い。むしろ米国では高速通信にアクセスできない家庭(特に貧困家庭)が多くあって、なんとかしなければいけない、という声の方が大きい→補助金期待。インターネット網という意味であれば、Comcast、Charter Communicationsをどうぞ。
買増したいが、円安だし・・・、う~む。